2003年12月10日(水) 横浜国際総合競技場 東アジア選手権2003


日本 vs. 韓国 (0−0)

フジテレビ
実況:青嶋達也
解説:風間八宏
レフェリー:シンガポール人




<日本代表メンバー>

GK:1 楢崎正剛
DF:2 山田暢久→11 黒部光昭(後半44分)、3 坪井慶介、5 宮本恒靖(cap)、
22 中澤佑二→13 本山雅志(後半0分)、14 三都主アレサンドロ、
MF:15 福西崇史→10 藤田俊哉(後半0分)、19 遠藤保仁、8 小笠原満男
FW:9 久保竜彦、
大久保嘉人(前半18分退場)

「ジーコ監督のクビが飛ぶような試合内容」

 東アジア選手権の最終試合、事実上の決勝、伝統の日韓戦、アジア頂上対決、今年の日本代表見納めの試合・・・などさまざまな肩書きを持つこの試合は、スコアレスドローという結果に終わった。
 ジーコジャパンは、記念すべきこの東アジア選手権という生まれて間もないタイトルを逃し、2位に甘んじることになった。確かに総得点のわずか1点差だけで2位になり、非常に僅差ではあるものの、内容的には圧倒的な敗北と言わざるを得ない。

 やや過密スケジュールのせいもあるだろうが、日本は尻下がりに調子を落とし、今夜の韓国戦の試合内容はワーストの部類であっただろう。
 前半18分、ジーコ監督が心中するといった大久保選手が2枚目のイエローカードで退場処分となる。1枚目は足の裏を見せる危険なプレイのため、2枚目はPKを誘発させるために、足を引っ掛けられたふりをして倒れるシミュレーション行為のためである。今日のレフェリーはどちらかというと頻繁に警告を出すタイプであったことも考慮すると、退場は厳しいような気がしないでもない。それはともかく、結果的には心中するとまで言わしめた大久保選手は全く活躍することなく不発、あえなくジーコ監督のゲームプランも早い時間で崩壊してしまった。
 前半はこの影響を引きずり、日本の覇気はますますなくなってしまった。日本戦となると数割増しの力を発揮する韓国は、中盤のチェックが厳しく、細かい丁寧なパスワークで日本にボールを与えない。あわやというシーンも何度かあったが、楢崎GKのファインセーブなどで辛うじて救われた。日本のできる攻撃は、せいぜい苦し紛れの単調なロングボールを裏に放り込むくらいであった。中盤でボールをためることができず、あまりの劣勢を強いられた。ハーフタイムにジョン・カビラ氏が「ホスト国だ、がんばれ日本!」と叫んでも虚しく響くだけであった。
 後半、大久保選手の穴を埋めるべくフォーメーションを変更し、藤田選手と本山選手を投入する。4-4-1というシステムでカウンター気味の戦術をひいたのだろう。本山選手のシュートや久保選手のヘディングやコーナーキックなど、シンプルながら(相当間延びしていてカウンター返しが危なかったが)もいくつかの決定的なシーンを作ることができた(青嶋用語で0.999点入ったらしい。ならば、一方の韓国は少なくとも自然数の点が入っただろう)。退場者が出た後の流れを断ち切ろうとしたゴールへの気合い、ディフェンス陣の気迫は賞賛に値しよう。しかし、結局韓国の攻勢をとめることはできなかった。韓国の詰めの甘さ・攻めの単調さや、ディフェンス陣の執念、楢崎GKの素晴らしいプレイに何度も救われ、結果的に0点で済んだだけの話である。
 どんなに優れた実況陣であろうと、この試合内容ではフォローしようがない。誰の目から見ても日本の劣勢は明らかであり、攻め手に欠く内容で眠気を誘う試合だったかもしれない。解説の風間さんもどことなく疲れ、いらだった口調な気がした。実況の青嶋さんは日本の攻撃だけを大げさに強調し、雰囲気でごまかしていた。

 振り返ると、随分前から私は大久保選手を批判してきた。結果論で言えば、私の意見は正しかったことになる。この大会のA級戦犯は大久保選手であり、彼をかばって使い続けたジーコ監督もそうだ。もし私が大久保選手ならば、退場処分となったその時点で切腹でもしていたかもしれない。もし私がチームメイトならば、大久保選手をロッカールームで殴り飛ばしていたかもしれない。それくらいの屈辱であり、かつて成田空港で水をぶっかけられた城選手との比ではない。
 このドローの要因は、ジーコ監督の試合の展開を読む力の欠如にある。序盤の退場で日本は勢いを挫かれ、その建て直しにハーフタイムまで待たねばならなかった。遅くとも大久保選手に一枚目のイエローカードが出た時点で、彼が退場になった場合の想定をしなければならなかったのだ(追記:大久保選手は警告の常習犯であり、だったらなおさらである)。監督がすぐに手を打ってくれずに長い時間我慢したため、10人の日本代表は精神力を使い果たし、後半から藤田・本山選手を投入してもやや手遅れ気味だった。いうまでもなく、試合終了直前に黒部選手を投入しても無意味である。ジーコ監督は勝ち点3をもぎ取るどころか、かろうじて引き分けに持ち込むのがやっとだった。
 見ていたファンも疲れただろうが、プレイしている選手はもっと疲れただろう。こういう試合をすると、メンバーやスタッフ間に不穏な空気が生じ、亀裂が入らないか不安である。残念ながら勝ち点3をもぎ取り、優勝することはできなかったが、10人でも引き分けに持ち込むことができた。これは特に守備陣を誉めるべきである。監督が有効な指示を与えてくれないことを考慮すれば、日本代表の名に恥じることなくプレイした10人の日本代表の健闘は誉められても良いだろう。

 最後に東アジア選手権についてコメントしたい。もうすでにハードスケジュール気味のサッカー業界の新参者は、残念ながら劣勢になっている。事実上の2トップの日本と韓国は共に欧州組が不参加(Jリーグ組は参加、それはありがたい)と、見応えとして劣ってしまうことは否定できない。
 また、アジアの審判レベルは全体的に劣るのだろう。審判事情はよくわからないが、欧州に比べると判定基準が若干安定しないという点では不満を持った。
 とにかく、どうにかしてレベルを向上させ(東にとどまらずアジア枠をもっと広げることになってしまう)、UEFAチャンピオンズリーグ(それはクラブか)や欧州選手権(欧州におけるワールドカップ)などにも匹敵するように育つことを願うばかりだ。クラブレベルでは有名選手の少ないアジアにおいては、特に後者がより楽しみである。

採点の比較

右の列の赤字部分は「日本代表&五輪代表応援ガイドBOOK」より引用しています。


私の採点
サッカーマガジン
楢崎正剛 6.5
7.5
山田暢久
6.0
5.5
→ 黒部光昭
-
-
坪井慶介
6.0
7.0
宮本恒靖
6.5
8.0
中澤佑二
6.0
?
→本山雅志 6.5
6.5
三都主アレサンドロ
6.5
6.5
小笠原満男
6.0
5.5
福西崇史
5.5
6.0
→藤田俊哉
6.0
6.5
遠藤保仁
5.5
7.0
久保竜彦
5.5
6.5
大久保嘉人
4.5
4.0

 サッカーマガジンは無失点のディフェンス陣を高く評価したようだ。確かに自分の文章からもその評価も許容範囲に思う。私は久保選手が無得点だったのを評価しなかったが、マガジンは評価した。ボランチの解釈は、攻撃的であるか守備的であるかというのもあるので、評価の割れやすいポジションといえばそうである。遠藤選手とそのファンには深くお詫びしたい。

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