2004年2月8日(日/晴) キリンチャレンジカップ2004
 

埼玉スタジアム2002

(U-23)日本 vs. (U-23)イラン
(1-1)

得点者
平山(前半19分)
モバリ(後半16分)

テレビ朝日
実況:角沢 解説:松木



<U-23日本代表メンバー>
GK:18 林卓人
DF:5 徳永悠平、2 田中マルクス闘莉王、4 那須大亮
MF:15 田中隼磨→20 菊地直哉(後半0分)、13 鈴木啓太(cap)、6 今野泰幸、7 山瀬功治→14 前田遼一(後半28分)、12 森崎浩司→17根本裕一(後半21分)
FW:11 田中達也→19 坂田大輔(後半23分)、24 平山相太


「新生山本ジャパンのベストマッチ」

展望

 中東勢とのそれほど楽ではないオリンピック予選を前にして、ジャストタイミングで実力も拮抗している(日本のフル代表のFIFAランキング29位、一方イランのフル代表のFIFAランキング28位)イランとの試合が組めたことは、一ファンとしても非常に楽しみである。というわけで、好例のように、キリン様を始めとするスポンサー各社様、寒空の中応援したサポーターの皆様に感謝の言葉を述べたい。


前半
 前半19分、期待のホープ、現役の国見高校生平山選手が得点する。田中選手のアシストから見事にヘディングシュートを決めた。平山選手はまだキャリアも浅く、初速のダッシュ力にやや劣る、足元のボールがおぼつかないなどのシーンも見られたが、まだまだ若干18歳の若武者である。これが初めての代表の試合であるにも関わらず、プレッシャーを跳ね除けて得点した(おそらく、このヘディングのパターンは得意としているのではないだろうか。アシストの田中選手が誉められるべきか。)ことは賞賛に値しよう。これで大久保選手の尻に火がついてくれればいいのだが。このプレイに代表されるように、ヤングジャパンは失敗を恐れることなく、良くも悪くも自由にのびのびとプレイしている感が見られた。これがジーコ監督の求める姿なのではないだろうか。
 しかし、一方のイランは不意を突かれたような失点ではめげることがなかった。序盤からの猛攻は変わることなく、日本は何度も危ういシーンにさらされた。


後半
 中東のチームに特徴的な、中盤の厳しいマーク、ディフェンス時には素早くゴール中央の守りを固め、ボールを奪うと素早く前線にロングボールを放り込むという伝統的なカウンターサッカーは、シンプルでわかりやすい。最も単純な戦術ではあるが、型にはまると異常な強さを発揮する作戦でもある。ただし、その分もろさもあるが。
闘莉王選手がリベロ(現在は死語だろう)のように積極的に攻撃に参加する隙を突かれ、決定的なシーンを献上してしまうなど、まだディフェンス間(特に3−5−2におけるバックラインとボランチなど)の連携において十分なコミュニケーションが図れていないことも見受けられた。これは今後の課題としたい。
 フリーキックでの失点というのは、ある意味致し方ない面もある。だからといって、松木氏のように、「ゴール前でファールをしないようにすることが必要ですよ」とコメントするのも当たり前すぎて意味がわからない。それはともかく、ディフェンスのバランスが崩れ、危うい場面になったときに、やむを得ず反則でプレイを止めてしまうのは典型的なパターンである。そういった反則は、イエローカードや決定的なフリーキックを献上しやすい。無数のパターンに対して普遍的なコメントは難しいが、予想できない攻撃に持ち込まれたら、決定的なチャンスになりやすい、ということだろうか。

まとめ
 この試合はドローという結果に終わったが、あえて私が勝敗をつけるとすれば、イランの勝利である。私が評価したいのは、イランが徹底して自分たちのサッカーを貫き通したことにある。中盤では相手(日本)の好きにやらせない、ボールを取ったら速攻で前線にロングボールで繋ぐ、などいくつかの決まったパターンが若い世代にも見事に踏襲されていた。これぞ、かつてアジア最強であった中東のチームに多く見られる由緒正しきスタイルであろう。
 単に、過去の再現をしたからという意味で評価するのではない。この日のような接戦において、より明確なヴィジョンを持っている方が、より長く高い集中力を維持し、より疲れにくく、最後に運も味方し、勝利につながることは、先日のトヨタカップでボカがミランを撃破したことからも明白であるからだ。仮に破れてしまったとしても、それは必ず次の試合に生きてくるのである。
 一方の我らがヤングジャパンは、正直に言うと、今夜の試合はテレビ朝日の放送ということもあるし、あまり期待していなかった。しかし、蓋を開けてみればこれは山本ジャパンのベストマッチであろう。後半はやや厳しい時間が続き、選手交代も返ってちぐはぐさを増してしまった感があるが、それらを差し引いても、去年は確かつまらなくなかったっけ、と私の記憶を疑ってしまうような生き生きとしたプレイは、今後の躍進に期待できるだろう。
 まるで何かの選手権のように全力を尽くしてプレイした若きイラクイレブンには、何と言っていいかわからないほど感謝している。これをきっかけに、極東の日本と、中東の国々でより深い親交が生まれることを強く願う。いつか中東にも行きたいなぁ。
 なお、レフェリーがイランの壁の前進を静止しなかったこと、キーパーチャージを取るべきところを見逃した点など、ややレフェリングには不満が残った。
 私もこの試合内容に負けないように、選手の名前を必至で覚えないと。採点は今回見送らせてください。

放送陣に対して
 厳しい言葉を使うが、松木氏の解説はウンザリである。田中選手の前半終了間際のミドルについて、「この時間帯を考えると、このミドルシュートは良かったですね」というが、視聴者側からすれば、なぜ良かったのかを説明されない限りは、誰にでも言えそうなコメントである。フリーキックで失点すれば、「ゴール前でつまらないファールをしないことですよ」とのコメントは、曲がりなりにも解説者として何の固有の知識も示さない何ともお粗末なものである。視聴者が必要とするのは、どうすればそういったファールを防ぐことができるか、ということに他ならない。この試合だけでも、こういった事例を挙げればキリがない程である。正直に言えば、ファンを馬鹿にしているとしか思えないというか、本当にS級ライセンス所持者なのだろうか。私には飲み屋にでもいそうなお喋りなサッカーファンのおっさんにしか思えなかった。
 また、平山選手のゴールシーンのリプレイを何度も流すのは100歩譲って我慢するとして、テロップでゴール前から平山をアピールし、実況の角沢氏もやたら平山、平山とやかましい。サッカーは個人競技ではないのだから、いかに期待のフォワードとはいえ、そこまで注目する必然性は理解しがたい。むしろ、チームとして試合の流れがどうなのかをコメントして欲しいのだが。
 途中から音声を消して試合を見たが、サッカーではホイッスルが聞こえないという最大の難点を抱えており、今後は副音声で実況なしのものを楽しみたいと思っている。オリンピック予選がテレビ朝日の独占中継で何とも憂鬱である。

 なお、実況については、元ワールドボクシングのライターの粂川氏が興味深いコメントをしているので、そちらを参考にしてください。基本的に私の主張していることとほぼ同じ内容です。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~kumekawa/col10.html
http://www2u.biglobe.ne.jp/~kumekawa/col9.html
 私も高柳謙二氏は最も優れたアナウンサーの一人であると考えている。

採点の比較

まだヤングジャパンは選手の名前と顔が一致しません。
3月の予選までお待ちください。

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