2004年2月11日(水/晴) キリンチャレンジカップ2004

静岡スタジアム エコパ

 (U-23)日本代表 vs. ロシア代表
(1-1)

得点者
高松(前半33分)
ブルィキン(前半39分)

テレビ朝日
実況:田畑 解説:セルジオ越後、松木 ピッチ解説:堀池



<U-23日本代表メンバー>
GK:1 黒河貴矢
DF:5 徳永悠平、2 田中マルクス闘莉王、4 那須大亮
MF:15 田中隼磨、8 森崎和幸、13 鈴木啓太(cap)、17 根本裕一、10 松井大輔
FW:9 高松大樹、19 坂田大輔



「格上相手に勝利に等しい価値あるドロー」
展望
 ベストメンバーではないにせよ、格上ロシアのフル代表との対戦である。現在の実力からすれば、大方の見方は日本の完敗ではないだろうか。

前半
 序盤からロシアの高さを利用した戦いに苦戦する日本。特に、日本の左サイドからファーサイドに展開する大きなクロスボールに対して、しばしばロシアの選手をどフリーにさせてしまい、何度もひやっとさせられた。風邪気味で声が悪いのか、セルジオ越後氏はラインを引くべきだと言っていた。確かにそれも一理あるが、私はそれほどラインが高いとは思わなかった。むしろ、バックとハーフ(ボランチ)の連携がいまいちであるからだと考えられる。どのエリアを、どの選手を誰がマークするという約束がより厳密に守られれば、中央やサイドで相手の好きにやらせるチャンスをもっと殺すことができるだろう。
 日本の攻撃はロシアの中央の守りが厚いため、効果的なクロスボールを放り込めない。スピードのない単純な攻撃にはほぼ万全の体制で対応されている。一方のロシアだが、サイドから放り込むロングのクロスが数段正確であり、シュートのコンビネーションのレンジが圧倒的に広かった。長距離砲をガンガン打ち込まれているような状況で、いつやられてもおかしくなかった。
 しかし、闘莉王選手の驚異的なドリブル突破で、日本は均衡を破る。ロシアの選手も(私も)こんなのが通じるわけないだろ、と油断していたようだが意外に成功してしまった。アドバンテージを生かし、高松選手が最終的に押し込んだ(相手ディフェンダーに当たっていたが)。若さゆえのノリか、これが今のヤングジャパンの神風だろうか。正直この展開は予想していなかった。
 しかし、このリードは長く続かなかった。1失点のオフサイドについて、テレビとラインズマンの視線は異なるという話はともかく、私の印象ではグレーゾーンである。ロシア選手の身体一つ分以上すっかり出ていたかというとそうでもなかっただろう。おそらく、線審から見て半身くらい、ギリギリオフサイドではないだろうか。いずれにせよ、松木氏が指摘したように、ホイッスルが鳴るまでプレイを止めてはならない。その結果、1点献上してしまったのである。

後半
 ロシアの攻撃の手数が圧倒的である。攻めの形がより完成されており、日本は守勢に回る時間が長くなった。前半と同じように、ファーサイドに対するクロスボールに対応するのが遅い。しかも、セルジオ越後氏がコメントしていたように、そのチャンスは大抵日本のミスから生まれていたのである。つまらないトラップミス、パスミスなど、いくつかのミスはプロとしてありえないレベルだった。
 正直、よくロシアの猛攻を耐えることができたと感じる。守護神黒河GKのファインセーブで3点ほど救われた、ロシアの詰めが甘かったというのもあるが、どうもヤングジャパンには神風が吹いているようにしか思えない面もある。
 平山ブームの波に便乗して(?)、彼を誉めておこう。トラップしたときのボールコントロールで、直後にシュートを放つことが出来た。この一連の流れは非常にスムーズで、シュートも丁寧に下に打ち付けており、キーパーのファインセーブがなければ...、という非常に惜しいものだった。平山選手と一緒に途中投入された田中選手は、数少ないチャンスの中でこのプレイができなかったのは事実である。平山選手がスルーによってこのチャンスを得たという背景に、ストライカーとしてチーム内でも期待されていることがうかがえる。テレビ朝日が馬鹿騒ぎするほど誉めるわけではないが、今後も注目株であることは間違いない。

まとめ
 この日のMVPは得点した闘莉王選手である。準MVPはゴールキーパーの黒河選手である。その差はそれほど大きくないが、ロシアの詰めの甘さを考慮したからである。
 今後の課題として、中盤でのつまらないミスで決定的なチャンスを献上してしまうことは徹底して修正しなければならない。また、攻撃パターンはまだまだ完成には程遠い。厳しい見方をすれば、今夜の闘莉王選手のゴールを次に期待するのはそれほど賢い考えではない。より明快なチーム戦術としてのパターンをいくつも習得する必要があるだろう。また、中盤でアコーディオン状態に間延びしてしまう場面があり、中盤の選手そのものが悪いのか、それとも噛み合わせの問題なのか、いずれにせよ最大の弱点は中盤での確実なボールコントロールである。自分たちのボールになれば、より落ち着いた堅実なプレイにつながるはずだ。
 良くも悪くもヤングジャパンはマイペースで、闘志を剥き出しにするタイプではないようだ。格上ということを意識して緊張することなく、自然体でプレイしているのは非常に好ましい。ヤングジャパンは、欧州組抜きのA代表より面白いような気がしてきた。
 表題の「勝ちに等しいドロー」というのは二つ解釈があるだろう。一つは格上相手にもよく守り、互角以上にやった、よく耐え忍んだと誉めることである。おそらくより自然な感想であろう。他方はより厳しく、勝てない試合でもなかったということである。つまらないミスが多すぎた、そのせいでドローになってしまったと批判することだ。私は基本的に前者の気持ちであり、よくやったと誉めてやりたい。なので、「価値ある」を補足してある。来年もこの時期にロシアとやるという話がされていたが、次回はこの試合内容以上のものを期待したい。

 追伸
 日本代表の選手名鑑(ベースボールマガジン社から発行されている雑誌:日本代表&五輪代表応援ガイドBOOK)を買った。なかなか充実した内容である。保存版としてもぜひ一家に一冊どうぞ。ただし、680円とややアブラモビッチプライスなのはちょっといただけない。たいして元手がかかっていないのだから(編集版だから多分)、U-23スペシャルプライスで230円とかにすれば、みんな買うでしょ? と勝手な要望を適当に述べる。
 追記
 例の「日本代表&五輪代表応援ガイドBOOK」は親にくれてやったので、本屋で買いなおすことになりました。そこで金子達仁氏監修の「チャンピオンズリーグコンプリートブック」を見つけ、立ち読みでその内容に驚愕し、スカパーを契約していないのに購入しました。このクラスの選手ならば、覚えておいて損はないというつもりです。
 この定価750円(リバーシブルのポスター付)を基準にすると、680円は高すぎます。日本代表というんで儲けてやろうということなんでしょうが、もっと充実したものを作ってほしいです。サッカー雑誌で私ももっと勉強しないと。
 

放送陣に対して
 テレビ朝日の放送陣は相変わらずひどい。今回はより手厳しいので、ご覧にならなくて良いかもしれません。田畑という人に代わって、若干ノイジーではなくなったものの、突然「互角に戦っています」、「余裕を持って戦っています」などと乱暴に断言してしまうことに、議論の乱暴さと盲目的に日本代表を応援する気持ちを見出すことができる。後半に向けて、「平山のゴールが楽しみになってきました」とは、まるで平山選手以外のゴールの価値を否定するような言い方である。こういったチームプレイを侮辱するような発言は、曲がりなりにもサッカーファンとしてレポートを書いている私からすれば、レッドカードレベルのタブーである。
 サッカーはチームプレイだから、彼以外でも得点して勝利すればいいのではないだろうか。メディア的には平山選手がゴールしてくれれば、有名選手の少ないヤングジャパンでも記事になるのは確かだが、だからといって国内ででっち上げられたスターなど、国際試合で通じるわけがない。日本はまだメディアのレベルが低いのだろうか。
 松木氏の松井選手の日本初のシュートについて、「松井選手の気持ちが表れているようなシュートでしたね〜」とは、どういう気持ちだろうか。意味不明な精神論が多すぎて彼の解説は理解不能である。もし私ならば、「シュートで終わることは、たとえ枠を外れてしまったとしても、状況を打開するきっかけになることがあり、特に中央のディフェンスが固い場合、相手ディフェンスを引きつけ、バランスを崩す可能性があるため、こういった状況では有効である」などと解説する。
 平山選手が活躍することで、ポジション争いが厳しくなってどうのこうのという話も小学生レベルなので、あまり盛り上がらないで欲しい。もっと他に解説するべき内容があるはずだが。松木さんは飲み屋にいるサッカー好きのおっさんレベル、間違いない。
 後半も、ロシアが本気だから厳しいタックルをするわけでもないだろう。平山選手が競り合いで勝ったのは、単に相手を上から押さえつける反則をしたからである。あのプレイだけで必ずしも競り合いに強いかどうかは定かではない。

採点の比較

まだヤングジャパンは選手の名前と顔が一致しません。
3月の予選までお待ちください。


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