2004年3月18日(木/雨) アテネ五輪 アジア最終予選


国立競技場

(U-23)日本 vs. (U-23)UAE
(3-0)

得点者
那須(前半12分)
大久保(前半41分)
大久保(後半2分)

警告
平山(前半28分)

レフェリー
中国人

テレビ朝日
実況:角沢、解説:松木、セルジオ越後、ピッチ解説:堀池



<U-23日本代表メンバー>
GK:18 林卓人
DF:5 茂庭照幸、3 阿部勇樹、4 那須大亮
MF:12 徳永悠平、6 今野泰幸、13 鈴木啓太(cap)、17 森崎浩司
FW:11 田中達也、20 平山相太、19 大久保嘉人



「結果を出せば、山本監督は水をぶっかけられても怒らない」

展望


 泣いても笑ってもグループリーグの最後の試合を迎えた。我らが日本代表はここまで勝ち点10、得失点差で2位バーレーンにリードしている。もちろんこの 試合には、勝利以外に望むものなど何もない。どんなに泥臭いプレイであろうが、どんなに汚い反則を犯そうが(中東勢の得意技である)、勝たなければ何も意 味がない。
 昨日のレバノン戦は苦戦しているかのように見えたが、山本監督は難敵UAE戦を絶対に落とさないためにも、主力の警告を受けている選手と過労気味の選手 を休ませ、温存させたと考えられる。私たちファンのこの試合にかける応援は、この6試合を含めて最高潮のものになるはずだ。
 注目のUAEは、UAEラウンドでもう少しで得点だったというシーンを作るだけの優れた攻撃力である。後半に突然守備的な布陣に切り替えたため、ある意 味自滅に救われた感も否めない。そういったことも踏まえながら、日本のホームでグループリーグ突破がほぼ絶望的になった状況で、どれだけ彼らはモチベー ションを高められるだろうか。
予想スタメン

那須 阿部 茂庭
 鈴木  今野
石川      徳永
田中
  高松 大久保
 選手ひとりひとりの細かいコンディションはあまり公開されておらず、スターティングイレブンを予測することは困難であるが、私の希望も込め、調子の良さ そうな選手を中心に11人を選んだ。レバノン戦で主力を温存したのだろうから、UAE戦にトゥーリオを除くベストメンバーで仕掛けてくると考えられる。
 ディフェンスはおそらく不動、山本監督はここをあまりいじりたくないだろう。ボランチは安定した今野選手と主将鈴木選手が復帰するはずだ。サイドハーフ は石川選手と徳永選手、左右が異なるため左に森崎選手が入るかもしれない。1.5列目はやや人材に悩む。昨日田中選手がこのポジションで出場したため、 FWの人材を考えると、3-4-3のようでも面白いと思う。大久保選手は昨日の得点の勢いでスタメン濃厚と考えられる。高松選手は得点がさらに必要になっ た場合など、平山選手と交代するかもしれない。

 バーレーンがレバノンを倒すことを前提とすれば、日本は絶対にUAEに勝利しなければならない。勝ち点は13に並ぶが、得失点差での逆転はそれほど意識 する必要はない。確実にアテネに辿り着くためにも、2-0での勝利に期待したい。


前半
 戦前の山本監督のコメントのように、ほぼベストメンバーで3-4-3という攻撃的なフォーメーションを選び、絶対に勝つという姿勢が伝わってくる。ここ 最近でもなかなかの軽快な動きだ。左サイドの田中選手を中心に展開していくが、彼に対するマークは非常に厳しく(イエローカードが出てもおかしくなかった が)、得点にはならない。しかし12分、田中選手が得たフリーキッカー阿部選手がどフリーの那須選手に合わせ、ヘディングでゴール。非常に幸先のいい先制 点だった。
 その後田中選手のシュート(これは彼がオフサイドである。)、茂庭選手のヘッド、今野選手が平山選手に合わせ良いシュート・・・などなど、惜しいシーン は何度か見られたものの、いずれもゴールにはならない。テレビ朝日は「このままならばアテネ行きが決まる」とリーグの取組表を流しているが、この時間では まだ相手に反撃の余力が残っており、西が丘の戦況も考えると、少しでも多く追加点が欲しいところである。
 左サイドからの展開が異常に多く、中央の大久保選手と平山選手には徹底したマークがついており、中央の混雑具合は相変わらずである。そこで嫌な流れを断 ち切ったのが大久保選手である。終了間際、阿部選手の低い弾道のコーナーキックを相手ディフェンダーがすかした隙を逃さず、ごっつあんゴールを決める。前 半2-0で折り返し、次第に良いムードになってきた。

後半
 日本代表は、後半開始からまだ追加点を奪おうと非常にアグレッシブである。2分、大久保選手のシュートがクロスバーを直撃するも、跳ね返りを押し込み ゴールする。さらに田中選手の突破など、まだ追加点を奪えそうな勢いがある。
 しかし、結局ダメ押しとなったのは12分、マタル選手(エースストライカー)の退場であろう。私が思うにこのレッドカードは厳しすぎる。審判の死角に なっていたため、あたかもマタル選手が下から大久保選手に蹴りを入れたように見えたのだろう。マタル選手は非常にお気の毒だが、これは大久保選手の演技力 とやんちゃ振りを褒めるべきだ。日本はジャッジに恵まれていなかったとはいえ、こういった形で審判がUAEにピリオドを打つとは予想できなかった。
 その後、中央でのボールキープがやや定まらなくなる。私がサッカー小僧のとき、このような状況は「パチンコ」と呼ばれていた。山本監督が松井選手あたり を投入するかと思ったが、結局試合終了まで一人の交代もなかった。
 余裕さえ見せるヤングジャパンはさらなる追加点を狙い、勢いを失うことはなかった。しかしながら、グラウンドコンディションなども微妙に影響していたか らか、田中選手のドリブル突破、大久保&平山の国見コンビも残念ながらゴールにはならなかった。

まとめ
 山本監督の采配に対して賛否両論あり、冒険を避ける安全嗜好には物足りなさを感じるファンもいるだろう。しかし、UAEラウンドで多くの選手がコンディ ションを崩し、たびたび負傷者や欠場者で主力を欠きながら、それでも谷間の世代と揶揄される選手を率いて結果を残した実績は褒められて当然である。
 セットプレー以外で得点できなかったのは、実際に運の問題もあるので止むを得ないだろう。スリッピーなグラウンドでは、流れの中で得点するよりも、セッ トプレーの方がより確実で有効なのかもしれない。 また、メンバーを全く変えなかったのも、このままアテネを意識したメンバーだからなのかもしれない。
 もちろん修正すべき課題は山積みだ。前半から左サイドの展開ばかりが続き、逆サイドに展開させることがほとんど見られなかったこと、ミドルシュートが少 なく精度も著しく悪いこと(おそらく意識した練習はやってないのではないか)、ゴール前での攻撃のバリエーションに乏しいこと、中盤でボールをキープでき ないので攻撃が単調になってしまうこと・・・。このように、欧州のサッカーを見慣れているファンならば、いくらでも指摘することができる。あまり厳しいこ とを書くと自分でも気が滅入るのでほどほどにして、後は山本監督にお任せしよう。この厳しい6試合でヤングジャパンは大きな経験を積み、今後も成長してい く(しなければならない)のはおそらく多くの人が想像するところではないだろうか。

放送陣に対して
 真面目にレポートを書いた後にこんな馬鹿らしいことを書くのも嫌なのだが、松木氏は今夜ビールを片手に解説していたのだろうか。序盤から、角沢アナに 「ヴェルディ黄金期を支えた〜」と振られると(「黄金期にたまたま監督をやっていた〜」がより相応しいと思う)、「まずは集中ですよね」と何ら有意義なコ メントができなかったのは痛すぎる。致命的なミスとして、前半19分オフサイドになったのは紛れもなく田中選手である。田中選手の前に触った選手(誰かは わからなかったが、これもコメントして欲しかった)が前方にパスを出した瞬間、田中選手は最終バックラインを超えていたのはテレビからは明らかであった。 スタジアムの実況室とは、グラウンドがくまなく見渡せる場所であり、そのための設備を整えているはずであろう。
 また、試合終了直前、大久保選手がリフティングして足を蹴られ反則を取られた際、セルジオ越後氏はつまらない反則をもらって今後を棒に振るような大怪我 にならないように、とコメントしたのである。極めて正論である。一方の松木氏は「中東戦法ですよ」などと全く意味不明なコメントを残してくれた。酔っ払っ て仕事をしているのではないかとさえ思ったが。

採点の比較

右の列の赤字部分は「サッカーマガジン」より黄字は「サッカーダイジェスト」より引用。


私の採点
マガジン ダイジェスト
林卓人
6.0
6.0
*
茂庭照幸
6.5
6.0
*
阿部勇樹
7.0
6.5
*
那須大亮
6.5
7.0
*
徳永悠平
6.0
6.0
*
今野泰幸
6.5
7.5
*
鈴木啓太
5.5
6.5
*
森崎浩司
5.5
6.0
*
田中達也
6.0
7.0
*
平山相太
5.5
6.5
*
大久保嘉人
7.5
7.5
*

 本日のMVPは2得点、そして相手エースを退場させた大久保選手である。準MVPは正確なボールをバンバン放り込む阿部選手とした。トゥーリオ選手が復 帰すれば、攻撃力の低いボランチで活躍し、新たな攻撃パターンとなるだろう。
 林選手は今日も一度飛び出すタイミングが遅れるシーンが見られたので、修正してほしい。6試合で2失点は一般的に誉められようが、私は特にファインプ レーを連発したとは思わない。余裕があればもっと効果的な指示を出せるようになって欲しい。
 茂庭選手はヘディングであわや得点だった。使われ続けて結果を出したと言える。那須選手はディフェンスはもちろん貴重な先取点にも貢献したので、6.5 でも準MVP次点扱いである。
 徳永選手は今夜が最も影が薄かった。あえていえば石川選手の方がよりスピーディで攻撃的でより相応しかったように思う。彼のクロスボールはこのチームで 2番目くらいだろうか(1番は阿部選手)。今野選手は影のMVPである。フル出場できたタフさと滅多に反則に関わらないことが良い。今後は隙を見つけて攻 撃参加して欲しい。鈴木選手は、阿部選手が同じポジションになれば、控えになるのではないだろうか。同じく課題は攻撃力である。左サイドはやや手薄なポジ ション。森崎選手は精度とアイディアを磨いて欲しい。
 田中選手は不運にも得点にはならなかったものの、貪欲に追加点を狙う姿勢が素晴らしかった。平山選手は、2人がかりでマークされるとやや仕事ができなく なる傾向にあるようだ。後半相手ディフェンスの心が折れ始めてから活躍できた。私は彼ではなく、より機動力のある高松選手が出場すると予想していたが。



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