「オマーン戦の繰り返し 勝ち点3以外ジーコ監督は肯定できない」
展望 いわゆるキャバクラ組を外し、欧州組を含む新規メンバーの我らが日本代表はアウェイでのシンガポール戦に望む。ジーコ監督解任論がますます叫ばれる中(私が知る限り、ジーコ監督を肯定する記事はほとんど存在しないし、納得できるものは皆無に等しい)、Sportsnaviの藤田選手のコメントによると、「いまのところ、チームに約束事がなく、選手のその時々の判断に任されている。」ということである。 監督の仕事の一つとして、チームに戦術を植えつけなければならないが、おそらくジーコ監督は他人に上手く説明することができないのだろう。名選手と名監督は必ずしも一致しないという格言があるように、ジーコ選手は直感的なプレイヤーであり、チームを客観的に統率することは苦手なようである。また、もし週刊誌のスクープがなければ、このキャバクラ事件そのものが闇のまま葬られていたのだろうかと思うと、一人のファンとしては何とも悲しい気持ちになる。 なお、問題となるのはキャバクラに行ったこと自体ではなく、「無断」で外出したことである。だが、選ばれし日本代表選手がキャバクラに行くことを擁護する気にはなれない。確かに無断外出した選手たちもペナルティを受けて当然とはいえ、最終的な管理責任はジーコ監督も負うべきであろう。成長著しい山本ジャパンと比較すると、レポートを書く私も気が滅入ってしまうものだ。 さて、ジーコ監督が自らの解任論を吹き飛ばすにも、格下シンガポール(FIFAランキング108位、一方日本は27位)に対して勝つことは前提条件として、充実した内容も伴ってサポーターを納得させたいものだ。守備陣は守護神楢崎GKが安定したプレイを続けており、課題は攻撃面にある。かなり高い確率でシンガポールは徹底的に守ってくることが予想される。見所の一つとしては、90分間の大部分を守っている相手をどうやって崩すかであろう。相手のカウンター攻撃については、攻撃は最大の防御というコンセプトで90分間封じ込めたい。 気になるメンバーは、これまで同様に欧州組主体になりそうである。しかし、このような直前での欧州組の合流は、チームとしてのコンビネーションはもちろん、選手個人のコンディション(試合離れによる勘の鈍りは深刻であろう)など、現状としては期待以上の効果を発揮していない。現在のFIFAの規約(48時間以内の合流)の是非はともかく、ジーコ監督にはその条件下でいかに良いパフォーマンスを発揮する手腕が問われている。また、アウェイにおける気候やグラウンドコンディションにどれだけ適応した選手を選ぶことができるか。今更あれこれと言い訳をしても、それほど同情の余地はない。 好材料としては、ジーコジャパンにおいて、これまで出場できなかった選手がチャンスを与えられると、生まれ変わったようになることはある。新フォワードの玉田選手はドリブルが得意なようで、得点力不足を解消できるか期待される。 予想スタメン
システムは4-4-2で、小野選手と稲本選手のダブルボランチ、中田選手と中村選手はオフェンシブ。 楢崎 加地 坪井 宮本 三都主 小野 稲本 中田 中村 高原 柳沢 早い時間に得点し、より長い時間自分たちの攻撃を維持し、危なげなく4-0での完勝に期待したい。 前半 試合開始から積極的な攻撃で、早い時間の得点を意識していることが伝わってくる。サイドチェンジやワンタッチでのプレイ、加地選手のオーバーラップなどが見られ、個人技も中央からの展開も可能である。日本とシンガポールの差は、1軍と3軍以上の格差があると言っても過言ではない。 しかし、オーバーペースで進んだ20分過ぎから欧州組のペースが落ち始めた。単に不運もあっただろうが、残念ながら得点してスローダウンできる時間にまで持ち越せなかったことが少なからず影響しているだろう。落ち着いてプレイすれば決して難しい相手ではないが、シュートはことごとく枠を外れ、次第に緊張が高まってくる。 その固い雰囲気を打ち壊したのが前半33分高原選手のゴール(実際にはディフェンダーに当たって完璧なコースに曲がったので自殺点だろう)であった。続いて波に乗る日本代表は、ワンタッチの展開で中村選手のシュートなど惜しいシーンもあった。とはいえ、アウェイの影響があるのか、追加点は奪えなかった。 後半 前半からメンバー交代はない。暑さのせいか欧州組は特に疲労の色が濃いようだ。攻撃は単調になり、中央に放り込むだけ、後は人任せになりはじめた。ディフェンスはそれほど疲れていないはずだが、いまいち集中力に欠ける。クリアミスを危うく得点されそうになり、ついに後半18分、シンガポールに得点を許してしまう。これはコースも完璧な素晴らしいシュートだった。 その後、シンガポールは勢いを取り戻し、引分狙いで完全に引いてきた。ダブルボランチの小野選手と稲本選手は完全にスタミナ切れで、前線でボールが回らなくなった。ますます日本は攻撃の手段がなくなりはじめた。 不調だった柳沢選手と中村選手アウト、鈴木選手と藤田選手を遅ればせながら投入する。さらに高原選手アウト、玉田選手インと立て続けに交代させ、交代枠を使い切った。それでもシンガポールの良い流れは止められなかったが、コーナーキックから藤田選手がこぼれ球をつめてゴール、これがシンガポールの息の根を止める形になった。今日の日本代表は最後まで気が抜けない。いつ同点に追いつかれてもおかしくないような内容だったが、辛うじて逃げ切りに成功した。 まとめ ジーコ監督が述べたように、前半の早い時間にあれだけのオーバーペースで得点できなかったのがこの苦戦の最も大きな理由であろう。蒸し暑いシンガポールに合流したばかりの欧州組にとっては、この激しい20分は普段の倍以上の消耗があったと推測できる。先手必勝の作戦が失敗し、どうすればいいのかと最後までズルズルと引きずってしまった。 それは明らかなことだが、ではなぜこの時間帯に得点できなかったのだろうか。アンラッキーだったということはさておき、やはりこれが時差やアウェイによるコンディションの影響だと認めなければならないだろう。私は実際に時差ぼけのままサッカーをしたことはないのだが、1週間でさえ(テストが終わった直後など)サッカーから離れるというブランクを作り、久し振りに身体を動かしてサッカーをやろうというと、自分の身体が思うように動かないと実感することはよくあった。思ったところにボールは飛ばないし、キレもないし、まず身体が重い。欧州組は実際の試合から離れ、勘の鈍りが指摘されている。さらに、時差ぼけのまま全く別の気候においてぶっつけ本番に望むことで、私が前述のごとく経験したように、ベスト・パフォーマンスからは程遠い状態なのだろう。これは残念ながらどうしようもない話である。 戦術的な問題を指摘すれば、個人技では明らかに分があり、欧州組も面白いようにプレイできたが、個人戦術レベルでワン・ツーだけのコンビネーションで相手ディフェンスラインを突破するのはそう簡単ではない。しかも、やはり急造だけに微妙に噛み合わない部分もあるのだ。その修正のためだけにタイム・リミットの20分を使い切ってしまったようなものだった。もしもう少し体力が残っているか、事前の練習期間がもう少し確保できれば、ワン・ツー、さらにそれからさまざまな展開まで実現可能だっただろう。 ジーコ監督肯定派はトルシエ監督は個性埋没の型にはめたサッカーであり、だからこそ2002年ワールド・カップのトルコ戦に自分たちのサッカーが通じなかったとき、新しい展開ができなかったと主張する。当時のジーコ氏は、もっと良い成績が残せたとコメントを残している。そのジーコ氏が監督に就任し、自由なサッカー、個性を尊重し、創造力溢れるプレイをモットーにしている。 その目標自体は的を得ている。しかし、そのための手段は絶望的といっていい。現在のFIFAの規約に従えば、ジーコ監督が主張するような欧州組を合流させての長い練習時間は確保できない。これが事実上彼のプランを破壊する最大の要因でもあろう。自由なプレイを実現するためには、実際に十分な調整時間を取って、誰がどのように動くかチームレベルで共通意識を持たなければならない。それには相当の時間と、相当のポテンシャルが必要不可欠になる。後者はともかく、前者については不可能であり、ジーコ監督がナビゲートして近道を示すこともできないようである。事実上何もできないのと同じことだ。これでジーコ監督を肯定する理由はなくなる。 日本だけがそういったハンディキャップを背負っているわけではないのだから、その条件下でベスト・パフォーマンスを発揮するのが監督の手腕であろう。いかにポテンシャルが国内組に比べて優れていようと、合流が直前であれば期待以上の働きはできず、かえって出場できない国内組にさえ悪い影響を及ぼしている。ここ最近黄金の中盤が錆付いていることは、もう誰の目からも明らかな事実である。 ジーコ監督が解任されない限り、これから先も今夜と同じような試合が続くだろう。これではとてもドイツには辿り着けない。ジーコ監督が解任されない理由が、単に相手が明らかな格下で負けないからというのもファンとしては複雑な気分である。 どんな悪い条件、監督の下であろうと、勝つためにプレイするのがプロである。こういった不甲斐無い試合内容に、主将中田選手が珍しく苛立ちをあらわにし、露骨な反則をしてイエローカードをもらった。彼のイエローカードを以前に見たのはいつだったか思い出せないような(ペルージャまでは遡らないだろうが)レベルである。あのイエローカードには、覇気のないメンバーに対してどれだけ重い無言の抗議が込められているだろうか。 放送陣に対して セルジオ越後氏はやたらとピッチ解説の堀池氏にふり、「ピッチ」解説の意義がわからなかった。これは遠まわしに松木氏がピッチに追いやられていると解釈していいのだろうか。ピッチならではの解説以外は、放送席にいるただの「解説」に分担させるのが普通だが、それは松木氏が役に立たないのが原因であろうか。 田畑氏は、「予選で楽に勝てる試合は1つもない」と実況していた。しかし、あえてより厳しい状況を選んでいるのはジーコ監督であり、苦戦している要因は負傷や悪質な反則やジャッジなど、単なる不運やアクシデントではないのだ。人災である事実を見つめず、適当に格言を並べることはまやかしにすぎない。 今日の松木氏は何一つまともな解説ができなかった。前半10分までは誰もシンガポールペースとは思っていないだろう。確か私が小学生の頃、あのレベルのことしか言えなかったような気がする。彼も解任されるだろう。次はスタジオにスタンバイしていた福田氏が就任するのだろうか。数度彼のコメントを聞いた限りでは、松木氏と大して変わらないように思える。 セルジオ越後氏の口調からは、強い苛立ちが感じられた。厳しい現状と自分の感じている危機感をほとんど何もわかっていない松木氏と田畑氏が隣にいれば尚更であろう。 採点の比較右の列の赤字部分は「サッカーマガジン」より引用しています。
今日のMVPは該当者なし。強いて言えば、得点した藤田選手だろうか。準MVPは発掘大賞ということで、加地選手となる。山田選手の出番はないだろう。
楢崎GKの久し振りの失点については責められない。ただし、リバウンドの目測を誤ったのはいただけないので、6.0となった。坪井、宮本両中央バックとも何度か危ういシーンを作ってしまったのは、ボランチやサイドバックなどのコンビネーションの問題なのか、統率力の不足なのか、いまいち覇気が伝わってこない。サントス選手は攻撃もいまいちだった。 欧州組は完全に不発、活動できたのは試合始20分程度だけ。中村、稲本、柳沢、小野、高原、中田の順に私の期待外れであるが、ある意味止むを得ないとも思う。藤田選手は帰国したばかりの中村選手より運動量が多く、頼れる存在である。玉田選手はアグレッシブだったが、やや出場時間が短く、そのため辛口になりすぎたかもしれない。柳沢選手はジャパンマネーを稼ぐためだけに雇われているように思われてしまう。鈴木選手はそれほど時差ボケもなく、欧州組の中では最もコンディションが良かったのではないか。 サッカーマガジンとの比較について、解釈が割れたのは加地選手と小野選手のみ。確かに加地選手の6.5は、後半のガス欠を考えると過大評価過ぎたかもしれない。 |
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