2004年4月21日(水曜日/晴) 国際親善試合


ギリシャ @パトラス

(U-23)日本 vs. (U-23)ギリシャ
(0-0)

得点者
田中達(前半21分)

警告
徳永(前半11分)


レフェリー
ルーマニア人

テレビ東京
ゲスト:ラモス瑠偉 解説:浅野哲也、実況:久保田光彦



<U-23日本代表メンバー>
GK:18 林卓人
DF:12 徳永悠平、5 茂庭照幸、21 北本久仁衛
MF:7 石川直宏、6 今野泰幸、13 鈴木啓太(cap)→8 森崎和幸(後半0分)、
17 森崎浩司→15 根本裕一(後半31分)
FW:11 田中達也→10 松井大輔(後半0分)、20 平山相太→9 高松大樹(後半0分)、
19 大久保嘉人→14 山瀬功治(後半14分)



「成長は見られたが、メダルはまだ幻に近い」

展望

 最近ではフル代表に比べても見劣りしなくなりつつある若きオリンピック代表が、アテネオリンピックの会場に乗り込む。FIFAランキング26位の日本代 表の対戦相手は、33位のホームのギリシャだ。ほぼレベルの拮抗した相手と言えよう。
 この対戦の意義は、アウェイの地において、ほぼ同格の相手に自分たちの実力をどれだけ発揮できるかということであろう。日本では夜9時開始(現地で昼間 開始)なので、時差ぼけが完全に抜け切らないとしても、比較的その影響も少なく、選手の体調も活動時間帯と考えられる。これは山本監督の備忘録でも記述さ れている時差ぼけ対策の一環である。
 不運なことに、3人の負傷離脱者(近藤直也、角田誠、阿部勇樹)を抱えてしまった。ディフェンス・ラインに対する不安は否定できないが、実戦でも故障者 や出場停止などでベスト・メンバーを組めないことは珍しくない。これは親善試合であるので、動揺することなくそのシミュレーションとして前向きに捉えてい けばいいだろう。

予想スタメン


青木 徳永 茂庭
 鈴木  今野
石川      森崎(浩)
田中
  平山 大久保

 私の予想スタメンは、選手の最新の詳細なコンディションは定かではないことは暗黙の了解として、いかに多く得点するかを意識した。ポイントは、あまりに 守備陣が入れ替わったことである。山本監督は基本的に理性的・安全志向であり、奇抜な采配はしないはずだ。
 日本代表の仕上がりはおよそ7割ほどと考えられる。一方、相手ギリシャはユーロにも出場し、チャンピオンズ・リーグにも出場した選手がいるほどの強豪で ある。アテネ五輪のホスト国として、プライドや勢いもあろう。この試合、1-1のドローであれば上出来である。

前半
 解説のラモス氏によると、芝生が長めで日本イレブンにとってはやや戸惑いを感じるようである。そのせいなのか(スロースターター気味、時差ぼけの影響な のかもしれない)、試合開始直後は動きが重く、一方のギリシャは体格のアドバンテージを発揮し、試合の主導権を握る。ギリシャのコーナーキックは林GKの ファイン・セーブに救われ、何とか失点を免れる。
 しかし、前半21分、石川選手の鋭いドリブルからクロスボールを放ち、中央で平山選手がポストプレイ、田中選手につなぎキーパーのヘボさにも救われ幸先 よくゴールする。この試合初めての決定的なチャンスをモノにすることができた。このカウンターアタックが大きく流れを変えた。
 ラモス氏にも指摘されていたように、日本の「あわや」というシーンは、しばしば日本のミスによって演出されていた。特に狙われていたのが弱いパスであ る。リバウンドもあまり良くないので、テレビ観戦ながら相当芝が深いと感じた。そのため、出し手は意識していないが、結果的に途中でパスが止まってしまう のである。おそらくギリシャもアウェイのチームがよく同じミスを犯すことを知っているのだろう。
 危ないシーンも何度か献上するが、辛うじて首の皮一枚でつながり、失点には至らない。林ゴールキーパーのファインプレイと粘り強いディフェンスによるこ とが大きい。一方のオフェンスは、サイド攻撃が冴えた。

後半
 メンバーが3人交代(田中達也→松井大輔、鈴木啓太→森崎和幸、平山相太→高松大樹)する。交代メンバーは前半と同じような状況に陥り、不慣れなピッチ における展開が続く。しかも、次第にスタミナが尽き始め、パチンコ球のように中盤でボールをキープできない。ギリシャのペースで試合は進み、危ういシーン も辛うじて林キーパーのスーパープレイに救われる厳しい時間、膠着状態が続く。後半に良かった攻撃は、大久保選手に代わった山瀬選手関係だけといってよ い。そして、最後に今野選手が競り合いに負け、失点する。 


まとめ
 後半終了間際、気を抜いたのか、バテたのか、とにかく失点してしまったのは非常に悔やまれる。今野選手が競り負けたのは、スタミナ切れによるのものでは ないだろうか。ヘディングをあのように被るようなミスは普通ありえないものだが。
 それまでの守備は、当然キーパーのファインセーブを誉めるべきだ。とはいえ、ディフェンス陣のフォローも見逃してはならない。例えば、相手が右サイドか ら攻めて来ると、数人がかりで厳しくチェックし、一方で中央や逆サイドに空いたスペースを必ず逆サイドのメンバーが詰めるようにしている。トルシエ時代か ら山本監督が実践している効果的なカバーリングである。メンバー間で共通して理解され、非常に良く機能し、優れた統率力を示していたことがわかった。
 むしろ、課題は攻撃面にある。司令塔を含む中盤の攻撃力、創造力にはやや物足りなさを感じる。それがこのチームの地味に見える要因なのかもしれない。中 田・中村といった選手のオーバー・エイジ枠も現実味を帯びつつある。また、サイド攻撃を封じられ、個人技でも突破できない場合に備えて、中央からのミドル シュートや攻撃面でも逆サイドへの展開をすることで、攻撃により一層の幅が広がるはずだ。今夜は鈴木選手の前半終了間際のロングシュートと、今野選手が何 度か逆サイドに展開するプレイが見られたとはいえ、まだ有効に機能しているとは言い切れないものがあった。ギリシャのキーパーはザルである。ならば、威嚇 の意味でもガンガンシュートを打つことがより重要であったのだ。

 これまでの試合を含め、本番18人の枠に向けて当選確実なのは田中選手のみ。層の厚いフォワードにおいて、コンスタントに結果を残しているのは最も評価 できる要素だ。私は石川選手のスピードとクロスも好きだが、山本監督の好みなのかこれまで外されることもあったので、次の試合にも良い内容になるよう期待 している。

 ルーマニア人の主審は、許容範囲内においてやや厳しいジャッジだった。特に徳永選手へのイエローカードはやや厳しかったように思う。

 今夜の試合の意義は、本番を意識したシミュレーションということであった。その結果、課題も含めて良い収穫になっただろう。今のチームには健全な競争意 識が根付いている。チームの雰囲気は良いようだ。新しく入った選手も、アピールに躍起である。アテネオリンピックまで順調に成長していくと期待できよう。 山本監督も方向性は絶対に間違っていない。

放送陣に対して
 テレビ東京は日本代表の放送と限定すれば、おそらく試合を味わうのに最もふさわしい分析的な切り口である。まるでWOWOWのエキサイトマッチのよう だった。
 試合中に重要なデータを表示するのは非常に効果的である。しかし、それに対してあまり効果的なコメントがなされていないことは惜しすぎる。「日本のボー ル支配率が上がってきましたね。これがこの時間帯の良い流れを示しています。」といった簡単な一言だけでも、より一層良くなるのだが。フジテレビも解説と いう意味では優れているが、青嶋さんはなぜか代表戦になると色気を出しすぎて欧州の解説ほど切れがなくなってしまうのが欠点である。サッカーに対する貢献 度も考慮して、フジテレビがベスト、2位はテレビ東京というランキングである。
 ラモス氏はまるで自分が選手と同じような感覚で解説をしている。前半はしばしば納得することができたとはいえ、ややサッカー経験者向けすぎたのは惜し い。「気持ちが向かっていかないからそういうプレイになる」といった発言は、私のようなサッカー経験者には使い慣れた表現ではあるが、素人が聞くと感情的 に聞こえるだろう。サッカーをやったことのある人による解説が有意義であることに疑いはない。しかし、あまりに感覚的すぎて視聴者にも伝わらない言葉を多 用してしまうのは、彼らがしばしば陥りやすい過ちであるようだ。おそらく、ジーコ監督も似たようなタイプではないのだろうか。
 実況の久保田氏は派手ではないが、試合の流れをよく理解し、非常に的確な実況だった。ラモス氏には上手く彼の経験を生かせるように振ればより良いだろ う。浅野氏とのコンビも理知的で好感が持てる。あえて難点を指摘すれば、来週のハンガリー戦のように試合がまともに作れない場合、どうやってフォローする かである。今夜のような視点で実況すると、はっきりいって厳しい言葉ばかりを使わなければならなくなるだろう。今夜も後半に展開が地味になったとき、やや 華やかさに欠けてしまった。あまりサッカーに精通していない人には、退屈に聞こえてしまうだろう。その意味でも、もう少し華が欲しいところである。
 言うまでもないが、例え1秒であっても放送が途中で終わるのはタブーである。最後までどうなるかわからないといったゲームには尚更である。また、リプレ イのタイミングが悪く、肝心の試合展開を逃してしまうのはいただけない。テロップで「日本メダルが見えた」と流すと、お前の妄想なんか俺には見えねえよと いうツッコミを食らいそうである。試合が終わらないうちに勝ち負けを暗示するのもタブーだ。

採点の比較

右の列の赤字部分は「サッカーマガジン」より引用して います。


私の採点
サッカーマガ ジン
林卓人
7.5
6.5
徳永悠平
6.5
5.5
茂庭照幸
6.5
5.0
北本久仁衛
6.0
5.5
石川直宏
7.0
6.5
今野泰幸
6.0
6.0
鈴木啓太
6.0
4.5
→森崎和幸
5.5
5.0
森崎浩司
5.5
5.0
→根本裕一
-
5.0
田中達也
6.5
7.0
→松井大輔
5.5
5.0
平山相太
6.0
6.0
→高松大樹
5.5
5.0
大久保嘉人
5.5
6.0
山瀬功治
6.5
6.0
 
 本日のMVPはスーパーセーブを連発した林選手で問題ないだろう。準MVPは攻撃の起点となった石川選手とした。3バックの守備陣は急造とはいえ相当の 安定感を示した。
 今野選手はしばしば攻守の切替の要となったが、最後の最後で失速したことが惜しまれる。そのため0.5点減点とした。鈴木選手も同様に攻守に渡り貢献し たが、一度前半のパスミスによる減点である。森崎(和)選手はまだチームに溶け込んでいないのか、チャンスを生かせず後半の失速の要因になってしまった。 森崎(浩)選手は攻められたサイドであるが、サイド攻撃の起点となれずややアピールに欠けた。根本選手は時間が短すぎる。
 田中選手は少ないチャンスを落ち着いて決めた。得点の予感を漂わせる雰囲気はさすがである。松井選手も攻撃のビジョンが見えず、司令塔としてあまり機能 できず。平山選手は最近地味にボローニャのターレ選手的な役割になってきた。今のサイドアタックを重視する戦術では貴重な戦力である。ポストプレイに関し ても、中盤とのコンビネーションに改良の余地は残されていると思う。高松選手は得意の後半出場を生かせず。大久保選手はピッチに慣れないのかコンディショ ンが良くなかったのか、前半の最後まで暴れんぼう振りを発揮できなかった。山瀬選手は今日の攻撃の大きな収穫である。司令塔候補に一歩リードした。



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