2004年4月24日(土曜日/曇) 国際強化試合


ギリシャ @ピルゴス

(U-23)日本 vs. ギリシャ選抜
(2-1)

得点者
田中隼磨(前半13分)
田中達也(前半31分)

警告
黒河貴矢
今野泰幸


レフェリー
ギリシャ人

テレビ朝日
解説:堀池、実況:田畑



<U-23日本代表メンバー>
GK  1 黒河貴矢→ 22 川島永嗣(後半0分)
DF 12 徳永悠平、3 那須大亮→  5 茂庭照幸(後半0分)、2 栗原勇蔵
MF  6 今野泰幸→ 10 松井大輔(後半0分)、8 森崎和幸、
15 根本裕一→ 17 森崎浩司(後半26分)、14 山瀬功治→ 13 鈴木啓太(後半37分)、
16 田中隼磨→  7 石川直宏(後半19分)
FW 11 田中達也→ 19 大久保嘉人(後半0分)、 20 平山相太→  9 高松大樹(後半0分)


「本番の18人に向けて命運が分かれた内容」

展望

 ギリシャ選抜の「選抜」とはいかなる意味なのか定かではない(修正の予定あり)のだが、ホームの利を生かし、より良いコンディションを維持し、より多く の手駒を生かし、より効果的な修正ができるのはギリシャであろう。相当の援軍が補強されていると覚悟し、私がもしギリシャの監督ならばどのようにして日本 代表と戦うべきかという観点で記述したい。

 山本監督は、自著で述べられているようなトルシエ監督の得意とする厳しいプレスサッカーを見事に踏襲している。このディ フェンスに関する理解は、鈴木・今野のダブルボランチを軸として、サブのメンバーに至ってもほぼ十分に共通して認識されていると言って良い。先日のU- 23ギリシャ戦の急造ディフェンス・ラインも相当機能し、オリンピック最終予選の順位表でも失点が最も少なく、日本の守備力は高いことがわかるだろう。おそらく、ギリシャというヨーロッパで も比較的格下のチームならばこの戦術で対応できると思われるが、あえてその弱点を考えてみよう。
 プレスということは、ボールを持っている一人の相手に対して、複数人数で囲み、プレッシャーを与える。また、いわゆる「間延び」の状況を作らないよう に、3バックのディフェンス・ラインは上がり、相手が好きにできるような中盤のスペースを殺し、より密集地帯に追い込むことでもプレッシャーを与えること ができるのだ。
 非常に優れた作戦は存在するが、完璧な作戦は絶対に存在しない。仮にあるとしても、それは限りなく洗練させることだけである。このプレス・ディフェンス の特徴としては、良くも悪くも集中・密集しすぎているということが挙げられる。こういった作戦の天敵は、山本監督の自著でも記述されているように、2002年5月14日のノルウェー戦のような戦術である。プレスをすかす動きとして重宝なのは、大きな逆サイドへの展開、多少大きめ のワン・ツーや壁パスなどである。前者は遠距離系のパスで、そのプレスの裏やラインの奥を狙い、必ず空いている背後のスペースに放り込むことである。そし て、後者は近・中距離のコンビネーションで、密集エリアから比較的遠くないスペースを狙うパスである。両者は相互補完的な役割を持っている。始めのうちは 長距離系の動きでかわし、それを警戒してプレスが緩くなりつつあれば、近距離系のワン・ツーでも突破することができるはずだ。このような密集サッカーに対 して最も目立てる選手は、森島選手のような2列目くらいから素早くスペースに飛び出せる選手だと思われる。
 プレスという動きは、基本的に直進的・突進的な動きであるがゆえに、横にかわされてしまうとその分もろい面もある。自分たちは捕らえられると思って近 寄っても、あざ笑うかのようにボールを振り回されていると、走らされてばかりのように感じ始め、より激しく体力を消耗してしまうのだ。
 ただし、そうするには相当のスキルが要求されるのは言うまでもない。FIFAランキング33位のギリシャにできるかというと、あまりそうとは考えにく い。相当の格差(FIFAランキングで15位くらい以上だろうか)があれば、中盤の展開するスピード自体を速めていけば、実力差だけでこのプレスを無効に することも可能だ。
 現在の日本代表は、プレスが効かなくなった場合どのような対応策を実現できるだろうか。その対応にはおそらく選手一人一人のポテンシャルに依存するよう になるだろう。メダルを意識するならば、そのレベルまでも意識してプレイしなければならなくなる。

 また、このチームは地味に見え、華やかさに欠ける。山本監督は基本的にトルシエのシステムを上手く取り入れており、ディフェンスについては若き日本代表 をほぼ完全に意識付けられていると評価できる。しかしその一方で、攻撃には物足りなさや単調さを感じるのも事実である。実は、彼の自著では、攻撃に関する戦術はほとんど述べられていないのである。トルシエ監督は、2002年のワールド・ カップまでにこのレベルまで日本代表を育成できた。しかし、攻撃に関してはほぼ選手の自由な発想任せ、良く言えば自由主義、悪く言えばトルシエの知識が欠 落していたのである。実際には、後者の解釈が妥当と私は思う。谷間の世代でない彼らには、教わらなくとも創造性を発揮し、実現できるだけのタレントが揃っ ていたからだ。
 守備に関する約束事は、攻撃に関するそれよりも圧倒的に多い。攻撃はケースバイケースで選手が状況に応じて最適な意思決定をするものであり、あまりセオ リーでガチガチに固めるものでもない。U-23日本代表は、最終予選でも見られたように、サイドまでがっちりディフェンスを固められてしまうと、攻撃の手 段がほぼなくなってしまうのである。
 現在最も有効な作戦は、サイドからのクロスボールである。だからこそ中央で楔になる平山選手がなおさら生きてくるはずだ。また、この遠征には参加してい ないが、阿部選手のような正確なキックの達人は極めて貴重な攻撃力になる。彼も十分なコンディションを維持できるようになってくれることを強く願ってい る。
 A代表と五輪代表の決定的な違い、つまり谷間の世代の定義を自分なりにすると、中田選手のようなアイディア豊富な中盤の司令塔がいないことであろう。こ れは、欧州リーグにおいても、上位と下位のチームの決定的な要因の一つとも言える程の重要な要素である。その領域までに成長させられないのは、山本監督を 責めるべきであろうか。

 さて、日本の援軍について、U-23ギリシャ戦はアジア・チャンピオンズリーグのため欠場した那須、栗原、田中隼の横浜M軍団が合流したとのこと。先発 濃厚なのは、左サイドバックの那須選手であろう。
予想スタメン


徳永 茂庭 那須
鈴木  今野
石川      森崎(浩)
田中
平山  大久保

  山本監督の采配は比較的オーソドックスであるので、ある意味読みやすいとは言える。3-5-2のシステムならば、特別なコンディションの問題がなければ、 このスタメンを予想する。U-23ギリシャ戦の後半に、山瀬選手を投入した際の3-4-3気味のシステムもありうるだろう。問題は、このチームの最も手薄 な左サイドハーフである。この弱点をカバーするためのシステム調整だったのかもしれない。
 ギリシャ選抜の情報がわからないのだが、仮にA代表並みのベストメンバーが来るとすれば、ドローに持ち越せれば上出来といえる。得点はそれほど期待でき ないので、1-1ならば肯定的に考えられよう。課題は、サイド以外の攻撃パターンをいかに作るかである。ミドルシュート、アーリークロス、ワン・ツーな ど、多彩な攻めに期待したい。

前半
 練習試合のせいなのか、良くも悪くも気負っている様子は見られない。特に緊張している様子もないし、気合いが入っているともそれほど思えない。メンバー もギリシャに着いたばかりの横浜Fマリノス組を出場させていることから、調整的な意味合いが強いのだろう。
 前半13分、今野選手から田中(達)選手にパスを出し、それをワンタッチで綺麗に繋げ、田中(隼)選手が決める。危うくユニフォームを引っ張られ倒され そうになりながらも、早い時間帯で決めたことは大きなアドバンテージになった。
 しかし、その後の攻勢が続かない。ディフェンス・ラインでパスの出し所を探す時間が長くなる。これは、ギリシャが自陣に深く守ってスペースがないことが 原因だが、その状況を打開するには、まずサイドに展開するか、中盤がもっと運動量を増やすのは基本である。
 黒河GKが処理を誤り、キャッチした後にペナルティエリアを越えてハンドの反則を犯す。キーパーとディフェンスラインの噛み合わせも急造ゆえの危うさが あったのだろうか。黒河選手は久し振りの出場で試合勘が鈍っているのか、先発の緊張があったのか、非常に危ない場面を2度作ってしまった。
 守備面はともかく、フォワード陣、特に田中選手はもはやエースの風格が漂うほどになってきた。UAEラウンドでのレバノン戦を彷彿とするような叩き付け るヘディングでゴールする。2試合で2得点、オリンピックでもきっと得点してくれることだろう。
 このまま前半が終わるかと思われた終了間際、今野選手がペナルティエリア内での反則を取られ、PKを献上してしまう。先日の試合に引き続き、終了直前で の失点だが、これはアンラッキーのように思う。今日のギリシャ人のレフェリーは相当のホームよりで厳しくジャッジしていたのは言うまでもない。確かに多少 ユニフォームを引っ張っていたとはいえ、あれくらいの反則でPKになるとは私個人としては納得しかねる。むしろ、日本のホームならばダイブとして倒れた選 手にイエローカードが出ることも多少はありうるかもしれないほどだ。

後半
 GK川島選手、センターバックに茂庭選手、ボランチ(ディフェンシブハーフ)の今野選手に代わって司令塔(オフェンシブハーフ)の松井選手、フォワード の田中(達)選手と平山選手に代わってそれぞれ大久保選手と高松選手を投入する。
 これだけ交代すると、まるで別のチームのようになってしまった。テレビでも指摘されていたように、中盤をよりオフェンシブ(1枚→2枚)にしたものの、 逆にキープできなくなり、返ってディフェンスに穴が目立つようになった。
 その原因を考えると、乱暴に言えばこの中盤は機能していない、通用しないのである。山本監督の掲げる3つのスピード(thinking, ball and physical speed)が遅い、つまり処理能力が劣っているのだ。チャンスを与えられたが、それを生かせなかったと解釈するしかない。その証拠に勝つために、後半 37分攻撃的な山瀬選手を下げ、鈴木選手を投入する羽目になった。

まとめ
 この試合について内容を求めるのは酷であろう。内容はともかく勝ったことには価値があるが、はっきり言えば、内容的には退屈になるような劣悪な部類のも のだった。その理由として、結果や内容というよりは、山本監督もより多くの選手に機会を与え、アウェイの環境でどれだけポテンシャルを発揮できるかを確認 するテストマッチであるからだ。従って、どのメンバーが18名(オーバー・エイジを含む)の枠に生き残ったかを考えるべきであろう。

 テレビで見た限りでは、ピルゴスのスタジアムはほぼスカスカで観客がほとんどいなかった。そのため、本来ならばアウェイでも聞こえるはずのサポーターの 声援が全く聞こえてくることはなかった。テレビで見ているだけでもいまいち気分が乗らなかったので、私はいかにファンの応援がありがたいものか思い知らさ れた。怪我の功名としては、山本監督の指示がよく聞こえたことであろうか。テレビ朝日の実況陣よりずっと生々しくて興味深い大きな声であった。難しいだろ うが、今後は山本マイクも聞けたら面白いと思う。


放送陣に対して
 テレビ朝日は松木氏の影響が色濃いようで、田畑氏と堀池氏は彼の不在を感じさせることなく、独特のうざったさを再現してくれた。視聴者を馬鹿にしている のか、単に彼らが不勉強なのかわからないが、18人がどうのこうのだとかオーバー・エイジがどうのと当たり前の話をあれほど繰り返す価値はあるのだろう か。試合が膠着状態に陥ったときの清涼剤的な話は、もっと入念に予習しておくべきである。女子代表の話も直接的には関連性がほとんどなく、単なる宣伝行 為、視聴率稼ぎにしか感じられないような不適切さを感じた。
 田畑氏も実はサッカーのルールを多少は理解していると思わせるシーンもあり、堀池氏も戦術的な部分はともかくワンシーンごとの解説にいくつかまともなも のもあった。しかし、全体的に考えれば、それらの貢献を完全に帳消しにしてしまうような、ひどい松木臭だった。

 レフェリーについて、私の知る限りでも相当のホームに偏ったジャッジであった。本番ではこれほどまで変な笛を吹く審判はほぼ皆無であろうが、最悪の状況 も覚悟して反則には神経質になって欲しいものである。後半の序盤、ギリシャの反則にイエローカードが出ないのは不自然だった。

 この試合はおそらく事実上の練習試合である。そのためにギリシャ「選抜」という名称になっているのだろう。相手チームがどれだけベストメンバーに近いか について何の解説もなかった。はっきり言って、相手チームについてほとんど何の情報も与えられなかったといっても過言ではない。U-23のギリシャより強 いのか弱いのかすら知らされなかった。また、日本もメンバー交代が非常に多く、フォーメーションの変更さえあったにも関わらず、きちんと説明しないので誰 がどこにいるかわからず、視聴者はますます混乱してしまったことだろう。テレビ朝日は商品を説明する責任を全く果たしていないことになる。私のこのレポー トの完成度があまり高くない理由の一つとして、実況・解説が特にひどかったことを認めなければならない。練習試合という最高からは程遠い食材を調理したの が、最悪のコックだったというような印象だ。

採点の比較

右の列の赤字部分は「サッカーマガジン」より引用して います。


私の採点
サッカーマガ ジン
黒河貴矢
4.5
4.0
川島永嗣
5.5
6.0
徳永悠平
6.0
6.5
那須大亮
6.0
6.0
→茂庭照幸
6.0
5.5
栗原勇蔵
6.0
5.0
今野泰幸
6.5
6.0
→松井大輔
5.0
5.0
森崎和幸
5.0
5.0
根本裕一
5.0
5.5
森崎浩司
5.5
5.0
山瀬功治
6.5
6.0
鈴木啓太
-
-
田中隼磨
6.5
5.5
石川直宏
6.0
5.0
田中達也
6.5
6.0
大久保嘉人
5.5
5.0
平山相太
5.5
5.5
→高松大樹
5.5
5.0

 これだけ出場する選手が多いと一人一人の正確な採点は難しくなる。
 本日MVPというほどの活躍した選手はいないが、本番に向けて当選確実なのは田中選手のみである。プレイが安定しており、コンスタントに得点しているこ とが何より評価できる。
 ゴールキーパーは、二人とも林選手の先日の出来に比べると明らかに数段劣る。もっとも、林選手も良かったのはその1試合だけなので、まだ当確とは言えな い。黒河選手の2度のミスは致命的、川島選手はパンチングのミスをつめられたが、自らのファインセーブでカバーしただけ良かった。
 守備陣はU-23戦よりはやや劣ったが、それでもPKを除けば無失点で粘り強い組織力をあったことを評価。
 今野選手は余裕があれば、もっと攻撃参加、指示を出せるようになった欲しい。森崎ツインズはやはりいまいち。根本選手は必ずトラッピングミスし、運動量 が非常に少なかった。彼らはレギュラーになれない。山瀬選手と田中(隼)選手はこの日の収穫であった。レギュラー争いに食い込むだろう。
 大久保選手は彼らしい暴れっぷりが見られなかった。司令塔がいないせいであろうか。平山選手は運動量が少なすぎた。高松選手もトラップミス、FKのヘ ディングを決められなかったのは痛い。



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