2004年5月26日(水/曇) 国際親善試合

味の素スタジアム

 U-23日本 vs. トルコ選抜
(1-1)

得点者
今野(後半43分)
警告
徳永(前半5分)
松井(前半31分)

レフェリー
韓国人

TBS
解 説:金田喜稔/高木琢也
実 況:清水大輔



<U-23日本代表メンバー>
GK:18 黒河貴矢
DF:3 茂庭照幸、2 田中マルクス闘莉王→14 石川直宏(後半0分)→23 駒野友一(後半23分)、4 那須大亮(Cap)
MF:5 徳永悠平、6 今野泰幸、16 阿部勇樹、7 森崎浩司、10 松井大輔→21 坂田大輔(後半11分)
FW:9 高松大樹→20 平山相太(後半11分)、19 大久保嘉人→17 前田遼一(後半27分)
サブ:1 岩丸史也、22 川島永嗣、12 北本久仁衛、24 菊地直哉、8 山瀬功治、13 鈴木啓太、15 根本裕一


「最後まであきらめず価値あるドローに」

展望

 メダルの期待がますます高まりつつある若き日本代表(FIFAランキング25位)が、ホームでの国際親善試合を行う。対戦相手はFIFAランキング7位のトルコ選抜チーム、ワールドカップで日本、韓国を破った強豪である。戦前の情報によると、A代表と五輪代表のメンバーの混合チームだという。日本で例えれば、オーバーエイジ枠プラスアルファの戦力が加わったようなものであろうか。
 この試合のレギュレーションについて、選手交代は6人とゴールキーパー負傷時の交代枠となり、おそらくオーバーエイジ枠も考慮した最終試験的な意味合いが込められているのだろう。
 この試合の課題は、明らかな格上相手に対して、これまで積み重ねてきたものがどれだけ通用するのかを確認することである。最悪通用しないこともあるかもしれないが、良い課題も悪い課題も見つけられるよう、全力でプレイすることにより、レギュラー争いも一歩抜き出せることだろう。

予想スタメン
黒河
茂庭 闘莉王 那須
 今野 阿部
石川    駒野
前田
 高松 大久保

 いつもの通りシステムは日本標準の3-5-2、バックは見ての通り、ダブルボランチに今野・阿部選手、サイドに石川・駒野選手、トップ下に前田選手、ツートップは高松選手と大久保選手と予想する。ただし、控えの選手だからといって必ずしも悪いわけでもないため、山本監督はより多くの人材にチャンスを与えようと、おそらく後半に大きな選手交代があるだろう。とりわけ、安定を誇るバック以外はリフォームされる可能性が高い。
 試合の流れとしては、ディフェンス陣は比較的安定しているとして、より多くの攻撃パターンを発揮できるか期待したい。阿部選手が前線に精度の高いボールを放り込めるので、サイドやポストの選手がどれだけコンビネーションを展開できるか注目したい。
 この試合、スコアレスドローは痛いが、得点するだけでも大きな自信となるだろうし、とにかく失うものはないと開き直ってアグレッシブなプレイで我々ファンを楽しませてもらいたいものだ。1-1のドローと予想する。
 
前半
 トルコは日本という会場に相性が良いらしく、序盤から攻撃がテンポ良く、非常に厳しい。中盤のチェックは早く、空中戦でもアドバンテージがあり、1対1も分があり、攻撃の手数が圧倒的であった。日本は右ウィングハーフの徳永選手を最終バックラインに組み込み、4バック気味のしぶとい守備でトルコの一枚以上上手の猛攻を何とか防ぐことができた。
 一方の日本の攻撃について、目立ったのはカウンター系のごく短いボールタッチによる攻撃か、阿部選手のコーナーなどセットプレー、トゥーリオ選手のサイドへの長距離砲、左サイドでフリーの森崎選手くらいであった。トルコの戻りは日本の攻めの上がりよりも早く、なかなかフリーでやらせてくれず、攻撃の枚数でも有利になることができなかった。
 前半は、よく守りきった、凌ぎきったという金田氏のコメント通りである。

後半
 負傷上がりのトゥーリオ選手を下げ、石川選手を投入する。トルコも前半に比べれば多少バテているとのだろうが、自分たちのリズムを維持して攻撃しているため、なかなか疲れ果てることはないようだ。
 8分、左サイドのFKからロングボールを放り込まれ、空中戦で先に触られ、那須選手が競り負けて失点する。あと少しでゴールキーパーがキャッチできたのだがと思う惜しまれる失点だった。トゥーリオ選手の交代と、体格差を感じさせた。
 11分、高松選手と松井選手に代わり、平山選手、坂田選手が入る。この新しいフォワードに得点してこいというメッセージなのだろうが、トルコ選抜を崩すまでにはならず、相変わらずペースを握られ続けている。
 今野選手からの中央へのボールや阿部選手のフリーキックなど惜しいシーンもあるとはいえ、あわや失点というシーンは依然として日本の方が多い。守備陣の執念やゴールキーパーのファインセーブなどがなければ、3点くらい取られていても決して不思議な内容ではなかった。
 トルコの勢いは衰えることなく、バイタルエリアでのワンタッチなどの早いパス回しや、スペースに上手く開いた逆サイドへの大きな展開、攻守の切り替えの早さなど、日本の気合いを萎えさせるには充分過ぎるほどの攻撃だったように見えた。ディフェンス陣もポストプレーヤーの平山選手を厳しくマークし、そのこぼれ球のケアに対する意識・対応も全く問題がなかった。
 多くのサポーターがあきらめかけたであろう40分、森崎選手のコーナーキックから今野選手が幸運にもどフリーでヘディング、ゴールを決める。これがトルコ唯一の致命的なミスだった。

まとめ
 前半0-0で終了時、私の考えていたタイトルが「凌ぎきった日本、攻め切れなかったトルコ」、後半今野選手が得点してドローになるまでは「これが世界の壁」だった。正直私もあきらめかけていたなかで、最後まで気持ちが折れることなく、運良く転がり込んだチャンス(コーナーからどフリーでヘディング)を確実に決めた今野選手と、最後まであきらめなかった選手たちの精神力は褒められて当然である。これからチャンピオンズ・リーグの決勝が始まるが、それでも見て良かったと感じさせる内容だった。
 しかし山本監督が試合後コメントしたように、時差もあり必ずしもベストコンディションでなかったにも関わらず、90分間手を抜かず全力でプレイし、胸を貸してくれたトルコ選抜が誰よりもMVPである。前半にあれだけ飛ばして、後半もそれほどペースが落ちなかったのはまさに驚異的と言えよう。彼らなくしては、日本の潜在能力はここまで引き出されなかった、良い試合にならなかったと、この場を借りて感謝の言葉を述べたい。
 日本代表の試合内容としては、残念ながら完敗の一言に尽きる。1対1、個人技、組織力、コンビネーション、展開力、身体能力、タフネス、・・・ほとんど全ての面において日本代表を1枚以上勝っていたことは、わざわざ特筆する必要もないだろう。あえて言えば、何人かの日本代表の選手に限っては、多少なりともスピードの分があり、何人かで囲むという組織力でカバーすれば、何とか互角に戦えることがわかった、という程度だ。
 オリンピック出場権は確保したものの、これでさまざまな課題が明らかになった。今夜の試合で特に目立ったのは、司令塔に対する不満である。中央からの展開やタメ(キープ力)がほとんどなかったため、トルコ選抜レベルになると、遠くからロングボールを放り込み、ターゲットマンが楔となって、シャドー・ストライカーが詰めるという2、3手程度の単純な作戦はほとんど読まれ、まず通用することはないようだ。特に、1対1の戦いに持ち込まれると、空中戦でも地上戦でも日本人の体格では分が悪いことが明らかになった。
 トルコが注意しなければならなかった攻撃は、カウンター・アタックとセットプレーくらいだっただろうか。決定的なチャンスはほとんどなく、トルコディフェンスを崩すまでには至らなかった。それくらい日本の攻撃は完全に封じ込められていた。これだけの攻撃力では、オリンピックのメダル獲得は極めて厳しい。少なくとも司令塔のポジションについては、オーバーエイジ枠起用の可能性がより一層現実的になったと考えられる。
 
放送陣に対して
 今日の試合は内容的に非常に充実していたということもあり、サッカーを味わうというレベルで実況陣も変なフォローなく解説に集中することができた。私も金田・清水両氏の解説に教えられた実感が随分ある。
 とはいえ、後半終了間際、今野選手のゴールの前まで敗戦濃厚だった時に、それまで素晴らしかった清水氏が突然奇妙なフォローを始め、日本が押しているとか、マスコミお得意の平山至上主義になったりと、最後の最後で馬鹿げたコメントを残したのは非常に残念であった。日本代表は最後まであきらめなかったのだが、その一方で清水氏はあきらめてしまったようである。
 また、ピッチ解説の高木氏はまだ経験も浅く、勉強も足りない。ピッチならではのコメントはほとんど何一つ残すことができず、これではわざわざピッチにいる意味がない。私の考えによれば、フォワードは自己中心に試合を考えることができる数少ないポジションの一つであるのだが、その理由だからテレビの解説には向かない傾向にあるのだろうか。
 コメントするのを止めようかとも感じるくらい馬鹿らしいのだが、加藤浩次さんの声質はコメディアン向きで、真面目なサッカー放送には向かないような口調、内容であった。なぜ彼を起用しなければならないかという必然性がわからないし、起用するとしてもアナウンス学校に通うなどとして、発音・発声の練習が必要である。
 やはり、私の最も好きなサッカー放送はフジテレビであることは変わりない。TBSさんがEUROの主要試合を放送してくれるのは非常に嬉しいし、私はすでに選手名鑑を買い予習もしているくらいなのだが、このレベルの放送では、由緒正しきEUROを放送するには多少不安を覚える。

採点の比較



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