2004年5月30日(日曜日/曇) 国際親善試合

マンチェスター@マンチェスター・シティ・スタジアム
 日本代表 vs. アイスランド代表
(3-3)

得点者
久保(前半21分)
久保(前半36分)
三都主(後半13分)

警告
なし

レフェリー
イギリス人

日本テレビ
解説:北澤豪、実況:船津宜史

<日本代表メンバー>
GK:1 楢崎正剛
DF:3 坪井慶介→8 小笠原満男(後半0分)、22 中澤佑二、5 宮本恒靖(Cap)
MF:6 稲本潤一→15 福西崇史(後半0分)、10 中村俊輔→19 本山雅志(後半0分)
18 小野伸二→4 遠藤保仁(後半15分)、14 三都主アレサンドロ、21 加地亮
FW:9 久保竜彦→11 鈴木隆行(後半0分)、20 玉田圭司→13 柳沢敦(後半0分)
サブ:12 土肥洋一、23 川口能活、25 茶野隆行、2 田中誠、17 三浦淳宏、16 藤田俊哉


「チェコ戦はまぐれだったのか」

展望
 先日FIFAランキング9位のチェコを破る大金星をあげたジーコジャパン(同25位)のイングランド遠征初戦、相手は同56位のアイスランドである。
 予習不足で申し訳ないが、アイスランドの知っている選手はチェルシーに所属するエイドゥール・グジョンセン選手だけだ。いずれにせよ、彼がアイスランド のキープレイヤー、点取り屋であることに間違いはなく、日本の勝利のためにも、ディフェンスはいかにして彼を止めることができるかがポイントになる。
 一方の我らが日本代表について、時差ぼけに関しては充分な調整時間が取れているだろうが、もはや恒例のように合宿中に負傷者が続出し、メンツ的にもコン ディション的にもとてもベストメンバーとはいえない布陣である。また、このイングランド遠征は、アイスランド戦に続き、1日の休みを経てイングランド戦が 控えている。この試合を乗り越えたとしても、続くイングランド戦には何かしらの影響を及ぼす可能性が高い。しかし、ワールドカップ本番でも過密日程による 体調不良、累積警告や負傷による欠場は珍しくなく、その場に応じた適応力(これがジーコ監督のエッセンスなのだろうか)を発揮して、ベストを尽くしてもら いたいものだ。
ジーコ監督明言スタメン

楢崎
坪井 宮本 中澤
稲本 小野
加地  三都主
中村
玉田 久保
 スポーツナビの日本代表特集によると、やっと目指すべき形が見えてきたようなチェコ戦のフォーメーション(3-5-2)、勢 いをそのまま壊さないよう今夜の試合を迎えるようである。欧州のチームで3バックのシステムを取るのは比較的例外的ではあるものの、日本人の特徴や能力に はこのシステムがより相応しいように感じる。
 キーパーは不動の楢崎選手、3バックには新たに中澤選手が入り、ダブルボランチにはこの試合のカギになるであろう稲本・小野の欧州組、司令塔には期待の 中村選手、彼よりポジション的に上の選手はみな左利きという布陣である。

 この試合の見所は、アウェイにおいてベストメンバーでないにも関わらず、イングランド勢相手にどれだけ自分たちのやりたいプレイ(チェコ戦で見せたよう な)ができるかである。チェコ戦で見せたような日本の組織立ったスピードのある攻撃ができれば、どんな相手にもそう簡単に敗れるような気はしない。チェコ 戦の勢いを踏まえて、1-0での勝利に期待したい。

前半
 前半開始早々5分、坪井選手(?)のファールで与えたFKから不運にも失点してしまう。楢崎GKのパンチングがたまたま相手FWヘルグソンの目の前に転 がってしまったということには同情の余地があるが、これはもっと確実な場所にはじかなかったキーパーのミスと言えよう。
 多少雰囲気は悪くなったものの、決してゲームを投げたわけではないようだ。この試合では、小野選手のパスの精度が著しく際立っており、それを拾う久保選 手とのコンビが非常に効果的だった。何度か惜しいシーンもあり、結果的にこのコンビが前半だけで2得点の大活躍だった。特に、小野選手絡みのプレイが良く 機能した。

後半
 後半開始から一挙5人を交代させ、システムも4-4-2に変更する。これは次のイングランド戦を意識したテストプレイの要素もあるだろう。
 5分、前半同様同じようなCKからの失点をする。これは宮本選手がマークを外したからだろう。GKはそれ以降どことなくリズムを崩してしまったようであ る。
 鈴木選手が小野選手のスルーパスをもらい、ペナルティエリア内で倒されPKをもらう。これを確実にサントス選手が決め、再度勝ち越す。
 その後、鹿島勢を中心としたスピードのある展開で攻撃をするも、ファインセーブもあり、自らのミスも多々あり、ゴールには至らない。柳沢選手は勘が鈍っ ているのか、流れを殺すブレーキ役のようだった。
 ディフェンスも、相変わらずマークがいまいちで、何とかファールで止め、シュートを打たせてしまうシーンもあった。何とか勝つことが出来たのは、相手の シュートがことごとく枠外に行ってくれたことに感謝しなければならない。

まとめ
 今日の試合内容では、チェコ戦の評価が大きく損なわれてしまった。これではワールドカップに行くことは難しい。解任運動をするとまではならないが、その ことも意識しなければならないような出来だった。
 チェコ戦はジーコ監督のベストマッチ、日本人の身体能力を補うのに最も相応しい作戦の1つであった。チェコ戦の素晴らしい仕上がり具合は、単にチェコの 調整不足だけによるものだったと解釈するべきなのだろうか。スピード、カバーリング、組織立ったプレス、これらの要素をなぜ大事にせず、また振り出しに戻 るような采配をしたことは理解に苦しむ。
 後半からの4-4-2は、さまざまな対戦相手の布陣によっても対応できるためのオプション、前半調子の良かった布陣をイングランド戦に備えて休ませるた めと好意的に考えたいが、今日のメンバーならばまだ3-5-2の方がより良く機能しているようであった。

 今日の試合は、チェコ戦に比べると全体的に格段に動きが悪く、スピードも運動量も欠けた。中盤でのマークが中途半端だったため、結果フリーにさせ、背後 のスペースさえも突かれるという最悪のパターンに陥った。運動量が少なく、相手の攻撃に時間をかけさせることをしないため、簡単にカウンターアタックを食 らい、逆サイドに大きく展開されることが多かった。相手の攻撃はこれが中心であり、最も防ぐべき攻撃を防ぐことが出来なかったらしくないディフェンスはど うしてしまったのだろう。
 私は合宿でのオーバーワークが原因なのではないかと推測する。ならば、連戦でますますコンディションは悪くなり、次のイングランド戦に今日以上の仕上が りを期待するのは、選手を入れ換えるなど大きな手術を行わない限り、正直難しいものがあるだろう。
 
 山本監督と対比して、ジーコ監督の明らかな失態は、ミスを連発するような不調な選手を平気で使いつづけ、チームの勢いに強いブレーキをかけてしまうこと にある。フル代表は競争心というレベルで煽るべき子供の選手たちではないが、いずれにせよチームにとってプラスにならない選手を使いつづけて得することは 何もない。しかも、チームとしてどういった選手を使い、どういった観点で評価しているのかもあまり伝わってこない。結局は、欧州組と自分のお気に入りの選 手だけを使いたいのか、と言われかねない。
 また、3バックでやるのか4バックでやるのか、そしてチームのコンセプトをどうやっていくのか、いまだに確実なことはっきりしないことも認識しなければ ならない。これは厳しい見方かもしれないが、言い換えれば、ジーコジャパンは目指す所もなく彷徨っているということだ。ジーコ監督のキーワードは、その場 その場に適応する「柔軟性」と言えよう。しかし、現在の状況では個人技に頼りすぎ、あまりにチーム戦術がなさすぎる。あと10%でも共通した戦術があれ ば、もっと状況は改善されると思うのだが。

 前半と後半同じ時間帯に同じセットプレーで失点してしまった。いずれも新しいポジションでマークが定まらない隙を狙われてしまったのか、いただけない2 失点である。アイスランドは日本に比べ、体格差で一歩以上アドバンテージがあるので、組織力でカバーしなければ厳しい戦いを強いられることになる。後半の 無失点も、相手フォワードのシュートの下手さに救われた感が否めない。少なくとも打たせる前でイングランド戦は決まってしまう。
 3得点は、どちらかというと個人(間)戦術によるものだろう。小野選手の見事なパス、それを狙っていた久保選手、イングランド戦も重要な戦力になるはず だ。一方で、後半の攻撃陣があれだけミスすれば、次回以降しばらく使わないなど何かしらペナルティを与えて欲しいものだ。
 
放送陣に対して
 北澤氏は、松木氏ほどではないにしろ、当たり前の事実をねちっこく語るので、くどすぎるという印象を与える。試合開始直後のセットプレーによる失点につ いて、「気をつけなければならない」というが、具体的にどう気をつければ良いのか解説者としてコメントできないということは、試合をわかっていないことに 他ならない。
 船津氏は、ろくに試合の流れを説明しない。プレイに関わった選手…誰と誰のコンビネーション、誰のシュート(誰が打たせたか、マークにつかなかった か)、FKは誰のファールによるものなのか、など必要な情報を基本的に無視し、「〜いいですね」、「激しいですね」と自分勝手な感想を断言してばかりだ。
 また、ハーフタイムにろくに試合の解説もしないで、稲本選手の独占インタビューを流すあたり、試合内容をまるで大事にしていないような印象を与える。こ れでは生中継しないアドバンテージは全く生かされていない。
 視聴者は解説者レベルの情報量、知識、情報処理能力を持っていることを前提として観戦しなければならず、アナウンスすべき分析的な視点は完全に欠落して いる。サッカーをわかっていないか、企業病なのか、雰囲気だけで試合内容をごまかすような日テレお得意の放送は、私には単なるノイズにしか聞こえなかっ た。

採点の比較

右の列の赤字部分は「サッカーマガジン」より引用しま す。


私の採点
サッカーマガ ジン
楢崎正剛 5.5
6.0
坪井慶介
5.5
6.0
→小笠原満男
6.0
5.5
中澤佑二
5.5
6.0
宮本恒靖
5.0
5.5
稲本潤一
6.0
5.0
→福西崇史
5.5
6.0
中村俊輔
5.0
5.0
→本山雅志
6.5
6.5
小野伸二 7.0
7.0
遠藤保仁
5.5
6.0
三都主アレサンドロ
6.0
6.0
加地亮
5.5
6.5
久保竜彦
7.5
7.0
→鈴木隆行
6.0
6.0
玉田圭司
6.5
6.0
柳沢敦
4.5
4.5

 今夜は出来不出来がはっきりわかれた結果となったとはいえ、全体的に良い評価の方が少ない。3失点のディフェンスは比較的評価が厳しくなっている。ただ し、日テレの放送が相当いい加減だったため、重要な目立たないプレイを見落としている可能性は十分にある。
 今夜のMVPは文句なく久保選手、僅差で準MVPが小野選手
である。久保選手は現 在のエース、尾の選手は中田選手の代役以上の活躍を見せた。両者とも2得点の演出者である。
 楢崎GKは、2失点 とも実力的にも、ディフェンスに指示するなどすれば、決して防げない失点ではなかった。最近ではワーストの内容。
  ディフェンスは、攻撃では目立つのだが、ラインをコントロールしてオフサイドを狙うなど、露骨なフィジカル戦を避けるべきだった。宮本選手 はファールを連発し、競り合いでも負け、これでは次の試合に出場できない。坪井選手の交代は、戦術的なものだったのだろうか。チェコ戦に比べると目立たな かった。中澤選手はさすがに競り合いには強いが、日本人としてあまりその方向に持っていくのは好ましくないように思う。
  稲本選手の交代は戦術的なものと考えるが、ボールに対する反応や勘や運動量はチェコ戦の方が良かった。福西選手は、攻守のバランスについて やや攻撃寄りだった。そして得点できなかったのは痛い。中村選手はチームの中で1,2を争うひどさ。コンディションのせいなのか運動量に欠け、久し振りの 司令塔であるが、繋ぎ役にとどまりアピールに欠けた。小笠原選手は、私の中では藤田選手の控えという評価。FKは惜しかったが、得点できないとポジション 争いは厳しい。本山選手は繋ぎ役としてならば、今日の中村選手より良かった。遠藤選手は、もう一歩マークをつめるとよかった。サントス選手は、攻撃に偏り すぎ、突破されることも目立った。加地選手も同様で、どちらかが守備的になると良い。
 鈴木選手の評価はPKを拾ったことのみだろうか。体調は良さそうだったが、今夜の出来ではイングランド戦の先発出場は難しい。玉田選手は伸びのあるドリ ブルが良く、久保選手を軸として自分の役割を理解している。イングランド戦も先発するだろう。ただし、もう少し大きめの脛当てをした方が良い。柳沢選手 は、相手GKのファインセーブというより、自分で外しまくっていたので、インド戦ではメンバーに漏れるだろう。これでは使い物にならない。 



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