2004年7月13日(火曜日/曇) キリンカップサッカー2004

横浜国際総合競技場

日本代表 vs. セルビア・モンテネグロ
(Srbija i Crna Gora)
(1-0)

得点
遠藤(後半3分)

失点

なし

警告
なし

レフェリー
オーストラリア人

日本テレビ
解説:北沢豪、 ピッチ解説:武田修宏、実況:藤井貴彦

<日本代表メンバー>
GK:23 川口能活
DF:3 田中誠、5 宮本恒靖(Cap)、22 中澤佑二
MF:21 加地亮、4 遠藤保仁、15 福西崇史、14 三都主アレサンドロ、10 中村俊輔
FW:11 鈴木隆行、20 玉田圭司→13 柳沢敦(後半27分)

サブ:1 楢崎正剛、12 土肥洋一、18 松田直樹、25 茶野隆行、17 三浦淳宏、
6 中田浩二、8 小笠原満男、16 藤田俊哉、24 西紀寛、19 本山雅志


「さまよいながらめぐり合った勝利」

展望
 キリンカップ最終戦、ジーコジャパンが初タイトルをかけてFIFAランキング48位のセルビア・モンテネグロ(以下SCG)を迎え撃つ。
 先日の試合ではプレスをかける位置が曖昧で、引いた相手に対してどうやって攻めるべきかなど、何を目指しているのか伝わってこないような内容だった。しかし、東欧遠征もイングランド遠征でもジーコジャパンにこういった傾向はしばしば見られるのである。1度試合を経験すると、ポテンシャルの高い日本の選手たちは瞬く間に適応してしまうのである。中田、小野、稲本選手ら主力のいわゆる欧州組を欠いたメンバーがどれだけその流れに乗ることができるだろうか。
 雑誌やインターネットの情報によれば、対戦相手のSCGはフィジカルに優れ、堅固な守備とカウンターアタックを得意としているようである。勝負には相性の問題もあり、単純比較は必ずしも正しくないが、日本が3-1で下したスロバキアに2-0で勝利していることから、決して油断のできない相手である。スロバキアを進化させたチームというイメージだろうか。
 SCG攻略の鍵として、一つはスタミナが上げられるだろう。彼らは日本の気候にも慣れつつあり、20時キックオフで幾分酷暑は和らぐものの、この気温と湿気では、中二日のインターバルではさすがに集中力とスタミナは長く続かないはずだ。
 カウンターアタックは最も守備的なスタイルの一つで、スロバキアと同様に引いて守ってくることが予想されるが、いかにして相手を走らせ、より早い時間に消耗させることが勝利への近道となろう。
 攻撃について、スロバキアのような引いてくる相手にスルーパスとサイドアタックばかりではやや厳しいものがある。2列目からの飛び出しなど、裏へ走りこむ動きは、集中力とスタミナを奪い、相手が最も嫌がる攻撃の一つだと思われる。攻撃の要となるのは中村選手であり、流れが停滞してしまったときにも、チームの勢いを取り戻せるような創造力溢れるプレイ、リーダーシップに期待したい。守備で注意すべきは、とりわけ最近の日本代表の弱点となるセットプレーである。坪井選手の負傷離脱は痛いが、代役の選手がそれほど劣るとは思わない。問題はコンビネーションである。
 少なくとも個人技では分があり、2試合目に尻上がりに調子を上げてくるだろうと期待して、3-1で日本の勝利と予想する。

予想スタメン

川口
宮本 中沢 田中
福西  遠藤
加地      三都主
中村
玉田 柳沢

 基本的にはスロバキア戦のスタメンで、鈴木選手に代わりゴールした柳沢選手、負傷の坪井選手に代わり最もチームに親しんでいる田中選手が加わるだろう。
 国内組が中心でも欧州組に劣らない闘志に満ちた試合ができるかどうか、スロバキア戦の反省がどれだけ生かされているか、アジアカップに向けて、初タイトルを獲得したいものだ。

前半
 両チームとも勢いのある出だしである。特に日本は短期決着狙いなのか、序盤の猛攻はすさまじい。しかし、決定機で玉田選手も鈴木選手も外し、先手必勝パターンは不発に終わる。
 SCG自体の攻撃は、日本のプレスの甘さもあったが、大して統率されておらず、日本以上の単発型、詰めも甘いものだった。しかし、対照的に、守備に関しては体格差を生かしたマンツーマンディフェンス決して日本を前に向かせることなく、2列目くらいまでほぼ万全の対応で、日本以上の守高攻低のチームのようである。
 日本は、どうも中央が分断されスカスカのように見える。暑さの影響なのかプレスが極端に甘く、フォワードとディフェンスが上手く噛み合っていないような印象を受ける。度々危ないシーンも見られたが、相手も暑さのためか精確さに欠け、川口選手の好守などにも救われ、辛うじて無失点に抑えることが出来た。39分のセットプレーは良く練られていたが、これも調子に乗れない玉田選手が外してしまった。
 今日のレフェリーがしばしば反則を流し、出されるべきイエローカードを出さないことは気になるところである。

後半
 開始早々3分、福西選手のパスを鈴木選手が裏へワンタッチで裁き、遠藤選手が落ち着いてキーパーを抜いて幸先の良いゴールを決めた。
 しかし、SCGは疲れているはずなのだが、タイトルへの執念は日本以上のものがあった。日本はこのリードを守るべく、徹底して引いて守っている(ゾーンプレス)のだが、その分バイタルエリア辺りから遠い位置でどフリーにさせてしまうことが多く、クロスを放り込まれ、あわや追いつかれるかというシーンも少なくなかった。もっとマンマークを徹底して個人技で勝負してもやや分があったように感じたが、なぜかシュートやドリブル突破を許してしまう作戦を選んでいるのである。確かにシュートコースを限定しているので、キーパーの目の前に飛んでいくことが多かったが、もしもっと技量のある選手がいたらと思うと、ぞっとするものがあった。
 日本は攻撃の手数も運動量も減った。SCGがガツガツ当たるだけで日本は露骨な対人プレイを嫌がってくれるので、おそらくスタミナ節約になっただろう。
 それにしても試合でSCGの選手がビンタしてもカードを出さないレフェリーには言葉を失ってしまった。

まとめ
 タイトルの「さまよいながら〜」というのは決して肯定的な意味ではない。確かに、主力を欠く中で、国内組を中心としてタイトルを獲得した選手たちとジーコ監督の手腕は賞賛されるべきである。しかし、その主力を欠くと、極端にチームコンセプトがわかりにくくなってしまうことに目をつぶってしまっていいのだろうか。
 この得点シーン自体は、ボランチの片割れ福西選手からのボールを鈴木選手がヒールではたき、裏へ走りこんだ遠藤選手がキーパーをかわしゴールしたという非常に美しい流れだった。とはいえ、なぜかはわからないが、それ以前もそれ以降も、こういった有効な攻撃は一度も見られることはなかった。
 極端に言えば、この勝利は偶然ではないのか、と疑っているのである。目指すべきサッカーも伝わってこないし、何を課題にしていたのかもわからずに選手任せ、結局ジーコ監督のチーム戦術は、彼の大好きな欧州組を中心にしなければ実現不可能なのではないだろうか。彼の言う、「監督は重要な事実を伝えるだけで、後は選手が自主的に判断しプレイする」という自由なサッカーは、この2試合を見た限り、とりわけ国内組ばかりのハードルとしては、やや高すぎるように思う。

 試合内容に関して言えば、SCGのディフェンスラインの堅固さは相当なものであった。前方に突破しようとしても、圧倒的なフィジカルではじき返されてしまうのである。このオーストラリア人レフェリーのファール流し、カードも出さない傾向にあったことにも救われ、そのため、日本代表は縦に対する突破や槍のような動きがあまり通用しなかった。
 勝利とは別にして、私の好みで言えば、今夜の中盤には運動量が著しく欠落していたし、プレスのタイミングも甘く、間延びしてしまったし、バイタルエリア周辺からシュートも打たせすぎてしまったし、ペナルティエリアに切り込まれ危ういシーンも見られ、2手、3手以降の攻撃のコンビネーションもほとんど構築されておらず、セットプレーを除けば、基本的には一発限りの単調な攻撃が目立った。

 今夜の勝利は、相手の決定力不足に大きく助けられるていることを考えると、決して手放しで喜べる内容ではなかったことを認めなければならない。もしそれに気がつかず、初タイトルに浮かれているようでは、アジアカップでオマーンあたりに手痛い洗礼を受ける可能性がある。スポンサーのキリン様やタイトル獲得そのものを否定するつもり全くないが、このタイトルは予め日本が獲れるような相手を選んでいるため、その価値にやや疑問をもってしまうのである。何となく、選手からは達成感や喜びが伝わってこないのだ。サントス選手が試合終了後泣いていたのは、自分に対する悔しさからだろう。(追記:サントス選手の祖母が亡くなられたためだそうです。動きが悪かったのはそのためだったのでしょうか。こちら


放送陣に対して
 ある意味非常に高い完成度を誇る放送だった。日テレのベスト放送である。他人が書く試合レポートなどに全く関心のないようなファン、裏番組と平行して見るようなファンには抜群に受けの良い、まさにテレビ的な解説だったと言えよう。否定的なコメントは極力控え、良いプレイ(大して良くなかろうが)を積極的にアピールすることで、日本代表が実際以上に素晴らしいように見えてくるように思えてくることは否定できなかった。サッカーのことをあまり良く知らず、何となくテレビをつけているだけのようなライトファンには、何か物凄く素晴らしいものを見させてくれているような、テレビショッピングのような理想的な放送だった。これほど絶妙なサジ加減の演出は、少なくとも地上波において他に存在しない。
 しかし、私からすれば、まるで180度違う解釈やコメントが多かったように思うし、危ないシーンには極端に盲目的になってしまうような姿勢は相変わらず日テレ的だと指摘せずにはいられない。そもそも、事実を的確に放送しないバイアスのあるコメントは、私の好みではない。

採点の比較

右の列の赤字部分は「サッカーマガジン」より引用しています。


私の採点
サッカーマガジン
川口能活
7.0
7.0
田中誠
6.0
6.0
宮本恒靖
5.5
6.5
中澤佑二
6.5
6.5
加地亮
5.0
5.5
遠藤保仁
6.5
7.5
福西崇史
6.5
6.5
三都主アレサンドロ
5.0
6.0
中村俊輔
6.0
6.5
鈴木隆行
5.5
6.5
玉田圭司
5.0
6.0
→柳沢敦
5.5
6.5
ジーコ
6.0
6.5

 本日のMVPは、川口選手であろう。飛び出しすタイミングの遅れやディフェンスと噛み合わないこともあったが、SCGの数多くのシュートを確実に防ぎ、ファインセーブを連発したことは、明らかに得点以上の価値があり、チームを鼓舞するプレイだった。ただし、相手のシュートは正面に飛んできたものも少なくなかったので、その分0.5点辛口である。
 ディフェンスラインについて、田中選手は急造ながらも粘り強いディフェンスで決定機を防いだことを評価。宮本選手は立ち上がりのミスを差し引いた。私は彼に代わって松田選手の投入も面白いと思うが。中澤選手はディフェンスが安定したことはもちろん、攻撃参加にも積極的で、こういったプレイがチームの雰囲気を盛り上げていくだろう。あえて注文をつければ、もう少し破壊力が欲しい。
 中盤について、加地選手は完全に不発。この2試合で大きく株を落とした。遠藤選手はミドルシュートも素晴らしく、影のMVPである。福西選手も良いパスを供給したことは良かった。ただし、私の稲本&小野のコンビに対する評価が最高であることに依然変わりはない。どうもこのボランチでは上半身と下半身を上手く接続していないような印象を受ける。縦に対する飛び出しや効果的な大きなパスが少ないからだろうか。サントス選手もほぼ不発。執念で最後のPKは惜しかったが、加地選手と同じく体格差のある相手に対して得意のスピードのあるドリブル勝負に持ち込めなかった。中村選手は、チームを引っ張っていくような統率力に期待したのだが、地味にフリーキッカーとして活躍した。もう少し運動量が必要だ。
 フォワードの鈴木選手は反則を取っただけ。そもそも突破する闘争心に欠け、反則をもらおうとする意図がバレバレだった。フィジカル勝負のディフェンスに完全に殺された。玉田選手も同様に、前を向かせてもらえず、ドリブル勝負をさせてもらえなかった。ポストプレイが得意な久保選手との相性は良いのだが、相手ディフェンスに張り付かれてしまうと持ち味が完全に失われてしまう。柳沢選手は前回短い出場時間で得点したので採点したので、今夜も短い時間で決定的なシーンでシュートを打たなかったことを平等に批判すべきであろう。
 ジーコ監督には、「初タイトルおめでとう」、それ以上のコメントはない。



Main / Soccer Top



SEO [PR]  ローン比較 再就職支援 バレンタイン 無料レンタルサーバー SEO