「アジアカップのベストマッチ」
展望 グループリーグ最終戦、相手はFIFAランキング20位とこれだけで見れば格上(日本は24位)であり、このグループDにおける頂上決戦となる。 相手のイランについて(私はまだ彼らの試合を見ておらず、インターネットや雑誌で調べた限りの情報レベルであることをご理解いただきたい)、オマーンがタイに大勝すると(4-0以上で勝ち点が並び、イランと日本がスコアレスドローだと得失点差と総得点でもひっくり返される)グループリーグ敗退が決まるため、決勝トーナメント生き残りをかけて死に物狂いで戦ってくることが予想される。その勢いだけを考えれば、イランがやや優勢のように思える。 イランは中東特有の縦に強いパワフルなカウンターサッカーを得意とするようである。また、この2試合の得点は全て後半であることから、非常に粘り強く、最後まで気の抜けない相手であることは間違いない。 一方の日本だが、この試合はどんなに大敗したところで、決勝トーナメント進出は変わらないのである。極端に言えば、より長期的な視点に立って、決勝トーナメントのために主力を休ませ、新しい選手のコンビネーションを確認することもそれほど間違いとはいえない。むしろ、たとえ勝てないとしても、延長戦などより厳しいノックアウト方式を考えれば、この試合を捨てることの合理性は決して否定できない。 しかし、負けず嫌いのジーコ監督は貪欲に勝つことを公言しており、選手もまたこの試合の勝利にこだわりを見せているようだ。コンディションに心配がないといえばウソになるが、先日のタイ戦の超省エネ戦法を考えれば、この試合で一気に尻上がりに勢いを上げてくることが予想される。これまでも、チェコ戦、イングランド戦のように、審判の日となるような試合になると、その直前の試合は何だったのかと思えるほどの完成度を誇ってきた。 おそらく、ジーコイズムによって、勝負所を理解し、力の抜けるところは力を抜くということがわかっているのだろう。その姿勢に対して、一人のファンとして不満を感じることはあるが、いずれにせよ、これまでの結果がジーコ監督指示の正当性を裏付けていることも事実である。 予想スタメン 前半 イランは早い時間の得点を意識しているためか、得意の縦に突破するカウンターアタックに固執しすぎ、やや単調になり、ミスが目立つ。日本はイランの戦術に関する対策もすでに万全なのだろう。上手く縦の突破とそのスライド(小さな横パス)についてもマークし、絶対に危険人物ダエイ選手のマークを外さないという共通理解がされており、日本はイランの攻撃に慌てることがない。 攻撃については、サントス選手のアーリークロス、田中選手のオーバーラップ、玉田選手のドリブル突破、鈴木選手の裏への飛び込み…などさまざまな選手が多彩に攻撃に絡み、アジアカップで見られなかった流れの中の攻撃が面白い。しかし、異常な暑さのため精度も落ちてしまうのは避けられないのだろう。惜しくも得点にはならない。 終盤には、オマーン2点リードの情報がイランに伝わっていたようで、イランが疲れを知らないイランが次第にペースを上げてくる。とにかく得点してやるという意気込みが伝わってくるようなロングシュートを連発するも、何とか川口選手のファインセーブや精度の悪さに救われた。 41分のイランGKがファンブルしたボールはぜひとも鈴木選手に決めてもらいたかったが…。 後半 ハーフタイムに、オマーンのリードを聞かされ、葉っぱをかけられたイランは、これまでの試合と同じく、尻上がりに調子を上げてきた。40℃という悪条件の中、確かにプレイの精度は落ちるが、まるでペースの落ちないイランは驚異的である。一方の日本はさすがにスタミナ切れを見せ始め、得意の引分狙い作戦に切り替え始めた。15分の川口選手の遅延行為などがその証拠となる。オマーン戦でも見せたやられそうでやられない日本の守備陣の集中力もまた見事である。 25分、この日機能していない鈴木選手に代わり、本山選手を投入する。スピードのあるこのフォワードに対して、イランも日本と同じように中央をがっちり固め、失点すればグループリーグ敗退が確実視されることを完璧に理解しているようだ。 その後も、イランの攻撃力は衰えることがない。正直、よくあれだけの猛攻を凌げたとは思うが、やはり酷暑はそれだけ集中力と精度を損なわせるものなのだろう。 まとめ 私の戦前の予想通り、タイ戦は不調なのではなく、単に省エネ戦法だっただけのようである。非常に厳しい気候と疲労が蓄積されている中で、1位通過のために少なくとも勝ち点1を取るというゲームプランを実現したことは評価されなければならない。 前半スタミナのあるうちは、イランの縦に強い槍のような攻撃に対して、まず一枚が進行方向を塞ぎ、もう一枚が近くの逃げ道を塞ぐことによって、イランの速攻は遅攻を強いられた。これは1つの理想的なカウンター殺しであり、EURO2004のギリシャが見せたような優れたチーム戦術を髣髴させるものがあった。しかも、時折カウンター返しを見せ、要注意人物のFWダエイは必ず複数人で競り合うなど、イラン対策は万全だったのだろう。イランはリズムを崩し、中央で守りを固めるのが精一杯だった。 しかし、後半には次第にイランペースとなる。前半終了時では、2-0でオマーンがリードしており、さらなる得点があれば、イランのグループリーグ敗退も濃厚だったため、苦し紛れで距離があろうと、積極的にシュートを打ってくる非常にアグレッシブな攻撃で、守備に関しても失点を許さないという気迫が伝わってくる素晴らしい戦い方だった。一方の日本は、スタミナ切れもあり、引分狙いで消極的になりつつあった。オフサイド、相手のミス、川口GKのファインセーブなどにも救われたが、いつ失点してもおかしくないほどの猛攻だった。ただし、終了間際オマーンが2得点差で勝つことが濃厚になると、間違いなくその情報が伝わっており、突然引分狙いで消極的になるなど、イランは侮れない試合巧者振りを見せた。 弱い相手には弱く、強い相手には強いという戦い方は、どうもラテンの戦い方なのかもしれない。これがジーコ流だとすれば、チームはジーコイズムが浸透し、機能しているということを認めなければならない。日本人的な感覚からすれば、どんな相手に対しても100%の力を出さないのはいまいち面白くないとはいえ、最低限の結果を残すために力の加減を知っていることも実力のうちである。 私自身、南米におけるサッカーに特別精通しているというわけでもないため、結果と印象が必ずしも一致しないコメントをすることにどことなく違和感を感じることもあり、本家に比べるとまだまだ洗練させる余地があることも感じている。とはいえ、深い潜在能力を感じさせるようになった戦い方をする今の日本代表については、優勝を期待して応援していきたいものである。メンバーが変わらないのは、彼らがこのチームで自分で考えてプレイするには、長い時間が必要だからなのだろう。つまり、今ジーコジャパンは成長していると言わざるを得ないのだ。 放送陣に対して 松木&角沢というコンビに対して、私の好みに合わないくらいしかコメントすることはない。絶対に負けられない戦いではなかったのだが、彼らはろくにサッカー雑誌すら読んでいなかったのだろうか。彼らはインターネットで自分がどう評価されているか耳を傾けてみると面白いだろう。 なお、松木氏が観客の歓声でジャッジが左右されるというようなコメントをしていたが、ホームタウンジャッジはともかく、「レフェリーは観客の歓声に応じてルールを捻じ曲げなければならない」といったことはルールブックに書いてあるはずがないし、オーストラリア人の主審は特にイランよりに笛を吹いていたとは思えない。松木氏に対して、よくこういったデタラメを公共の電波で流せるものだと彼の無知さに恐れを感じた。 採点の比較右の列の赤字部分は「サッカーマガジン」より引用しています。
今日は非常に良く統率されていたため、全体的に悪い選手を探す方が難しい。MVPは少なくとも数点を防いだ川口選手であろう。 ディフェンスについては、好守に目立った二人をより高く評価したが、宮本選手のイラン対策は良くメンバーに理解されていた。 中盤について、両サイドはこの夏最高の仕上がりだろう。プレイの精度にまだ改善の余地はあるものの、アーリークロス、ループシュート、判断の良い飛び出しなど、積極的に仕掛けていこうとする姿勢を評価。中村選手は厳しいマークでやや不完全燃焼気味だったが、セットプレーの起点となったことを評価。ダブルボランチもこの数試合で最高の仕上がりである。次第に重要なプレイを嗅ぎつける能力が洗練されており、好守に渡って活躍した。 フォワードについて、玉田選手はようやく自分らしいスピードのあるドリブルが出たことで自信を取り戻してくれるだろう。ゴールこそなかったが、相手ディフェンダーに嫌がられるプレイができたことを評価。鈴木選手はこの大会は不発のようである。決定的なチャンスでシュートを外したため、これでは交代も止むを得ない。本山選手は次の試合先発でも良いだろう。彼のスピードも通用するはずだ。 ジーコ監督は、ようやく自分らしいチームを指揮し、アピールすることができるようになったことを評価。怪我人などのトラブルがない限り、アジアカップの優勝は手堅いように思う。 |
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