2004年8月3日(火曜日/晴) アジアカップ2004CHINA

山東省スポーツセンター@済南

 日本代表 vs. バーレーン代表
(4-3)

得点
中田(後半3分)
玉田(後半10分)
中澤(後半45分)
玉田(延前3分)


失点
A・フバイル(前半6分)
A・フバイル(後半26分)
ナゼル(後半40分)


警告
三都主(前半19分)
加地(前半25分)
川口(延前12分)
西(延後4分)

退場
遠藤(前半40分)

レフェリー
シンガポール人(主審)
モルディブ人(副審)
インドネシア人(副審)

テレビ朝日
実況/田畑祐一 ナビゲーター/セルジオ越後 松木安太郎 堀池巧 川添孝一


<日本代表メンバー>
GK:23 川口能活
DF:3 田中誠→6 中田浩二(前半44分)、5 宮本恒靖(Cap)、22 中澤佑二
MF:21 加地亮→24 西紀寛(後半41分)、4 遠藤保仁、
15 福西崇史→8 小笠原満男(後半0分)、14 三都主アレサンドロ、10 中村俊輔
FW:11 鈴木隆行、20 玉田圭司

サブ:1 楢崎正剛、12 土肥洋一、17 三浦淳宏、18 松田直樹、25 茶野隆行、16 藤田俊哉、26 山田卓也、19 本山雅志

「粋も甘いもアジアカップ最大の収穫祭」

展望
 アジアカップ準決勝、相手は中東の新興勢力第2弾、FIFAランキング51位のバーレーンである。恒例のように、私は彼らの試合を見ていないのはご理解いただきたい。
 バーレーンの最新の戦績を確認すると、グループAでは中国に2-2、カタールに1-1、インドネシアに3-1と1勝2分の勝ち点5で2位通過、決勝トーナメントではグループCを3戦3勝で首位通過したウズベキスタンを2-2(PK4-3)で破っている。毎試合失点には気になるところだが、それを帳消しにする以上に得点能力が高く、中東のチームの性質なのか、終了間際まで得点できる集中力と体力を兼ね備えているようである。また、今年の3月に五輪代表のオリンピック最終予選で戦った若手のメンバーが主力となっているようだ。
 こういった新興勢力が日本のような優勝候補とまともに戦うには、まず個人技で勝負してはならない。オマーンやヨルダンを髣髴させるような良く統率された組織力で、日本の弱点を突いてくるはずである。
 日本の弱点を考えると、まず最も深刻なのが中二日のコンディションである。最近の試合で極力省エネファイトに努めているのも、気象や戦術的な理由こそあれ、根本的には固定されたスタメンのオーバーワークはまず否定できないはずだ。本来の体調が整ってさえいればそれほどの強敵でもないものだが、反日サポーターにも後押しされて、バーレーンが大番狂わせを起こす可能性は充分ありうる。
 ここ最近の試合でしばしば狙われているのが、日本の両サイドだ。ボランチと最終ラインの安定感と幸運にも恵まれているとはいえ、両サイドが3バックのラインまで下げられるようなことがあれば、中盤にぽっかりとスペースが生まれ、クロスボールやミドルシュートを被弾するだろう。この原因はほぼ全て両サイドの無気力さ(運動量の欠落)に起因するものであり、この日の戦局を左右するポジションではある。

予想スタメン

川口
田中 宮本 中沢
 遠藤 福西
加地      三都主
中村
玉田 鈴木

 なぜかは全くわからないが、ジーコ監督は相変わらずの固定メンバーを組んでいるようだ。全てはこのメンバーのコンディションに依存しているといっても過言ではない。いずれにせよ、おそらくヨルダン戦と大差ないレベルだと思われる。ただし、済南は重慶に比べ気候が穏やかなため、その意味では日本にも若干のアドバンテージになろう。
 準決勝まで来ればファンは当然優勝を期待しており、ジーコ監督も選手たちもそれ以上に優勝を意識しているだろう。疲労が抜けない中でも、最低限バーレーンを倒すだけの戦術は練れているはずだ。この試合、90分以内で日本が2-1で勝つだろう。得点は中村選手絡みのセットプレー2点と予想する。

前半
 やや落ち着いた出だしである。序盤から簡単にサントス選手のループシュートや玉田選手のドリブル突破などが見られることから、バーレーンはこれまでの中東勢に比べるとそれほどの組織力はなくプレスが厳しくない。個人技で見ても高々J2以下であり、フィジカルも日本が勝っており、何一つ彼らが優れている要素はほぼ皆無のようだった。試合も楽勝なのではないかと思われた。
 しかし、バーレーンの強さは突然J2以下からJ1のトップレベル以上のプレイを簡単にやってしまうことにある。6分、要注意人物と言われていたA・フバイルが田中選手を上手く背負いながら振向きざまのシュートを打つ。これが右隅絶妙のコースに飛び、ややブラインドになったのか川口選手が取れず、まさかの序盤の失点を喫した。
 動揺が見られるかと思われた日本代表だが、逆に先制パンチで目覚める形となった。相手のマークの甘さもあるだろうが、ここ数試合で最も伸び伸びとやっていると言えるような、自由なプレイやオーバーラップ絡みのコンビネーションが実に多彩である。
 対するバーレーンが監督から指示された戦術は、右サイド(日本の左サイド、サントス側)をワン・ツーで崩すこと、日本の守備陣は1対1の出だしのスピードが遅いことを狙うこと、の2つくらいしかいなかったように思う。
 日本の攻撃はアジアカップの中ではベストとも言えるようなリズムのある攻撃を続けている。非常に良い攻撃もいくつかあるのだが、ピッチがデコボコのせいなのか、なぜか得点にならない。
 そして得点できないまま40分、試合の流れを変えるような遠藤選手の退場処分が下る。この判定自体はミスジャッジ以外の何物でもなく、ちょっと裏拳やラリアートのようにたまたま腕が当たってしまっただけに過ぎない(この手のアクシデントは比較的頻繁な部類である)のだが、バーレーンの絶妙な倒れ方にも影響され、頓珍漢なレフェリーがレッドカードを出す。田中選手に代わりボランチの中田選手を投入する。どうもフォーメーションの変更があったようだ。これで前半の残り時間は、我慢を強いられることになった。

後半
 福西選手に代わり、小笠原選手を投入し、10人で戦うための準備を整えたようである。テレビ朝日の実況がいい加減で、具体的にどういったシステム変更が行われたかはわからない。
 ジーコ監督に発破をかけられたのだろう。先手必勝で序盤から早く同点に追いつこうという気合いがみなぎっているようだ。3分、中村選手のバーレーン選手が触れないような早いCKから中田選手がヘディングで叩きつけゴール。これで同点に追いついた。
 その後、レフェリーの下手糞なジャッジに阻まれるものの、日本の攻勢は変わらない。さらに10分、玉田選手が左サイドの突破、角度のないところから強引にシュートし、待望のゴールとなる。
 その後日本は息が切れたか、得意の省エネ戦法に持ち込む。しかし、後半の日本代表の守備にはやや切れがなく、怖いもの知らずのバーレーンの勢いを煽り、数多くのシュートを被弾し、ますます防戦一方となる。日本の攻撃は中盤を省略した攻撃に頼るようになり、パチンコのようにボールがあちらこちらへ落ち着かない展開が続く。
 26分、バーレーンの執念が遂に実を結び、スライディングシュートのような形で左隅に押し込んで同点に追いつく。相変わらず得点シーンだけは完璧なコンビネーションを見せる  すぐさま気持ちを切り替え、得点モードになる日本だが、前半のように惜しい展開が続くも得点には至らない。逆に40分、カウンターアタックを防ごうと中央を固めた日本のがら空きになった左サイドにボールをはたかれ、加地選手が転んでいる間にまたもや完璧なコースにシュートが決まり、何とバーレーンが勝ち越しに成功する。
 私はもうあきらめかけたが、今の日本代表は追いつこうと思って追いつける精神力と技術がある。加地選手を引っ込め、西選手を投入し、疲れを忘れたような勢いを取り戻す。45分、サントス選手のクロスを中澤選手がヘディングで決め、奇跡的に同点に追いついた。これでバーレーンは心が折れてしまったかもしれない。

延長前半
 延長戦は何点入ろうとも30分強制的に行われる特殊なゴール形式のようである。
 途中交代の西選手は非常に積極的である。3分、日本はカウンターアタックから玉田選手がディフェンダー数人を振り切り、キーパーの動きを良く見て右隅に押し込んだ。
 バーレーンは足が止まったかに見えたものの、なぜか得点のにおいがするシーンでは、異常な精度を示す。しかし、ここは守護神川口GKのファインセーブが勝った。

延長後半
 バーレーンの執着心は異常である。日本はすでに守りを固める体制に入ったが、それでも決定的なシーンを何度か作った。しかし、結局ミスにより得点はならず、かろうじて日本が逃げ切りに成功した。

まとめ
 後半終了間際から延長にかけては、何年かに一度あるかないかくらいの大激戦であった。あえて同じような試合を挙げれば、私が小学生の頃、サッカー小僧としていまだに記憶している雨の中の試合(今は無き新町グラウンド)までさかのぼるかもしれない。EURO2004のチェコ対オランダにも決して劣らない好ゲームだった。2時間の中で、最悪の雰囲気から最高の雰囲気まで味わうことができ、私も途中で何度タイトルを考え直したかわからないほどだ。後半終了少し前までは、はっきり言ってもうあきらめかけていたが、まさか本当に逆転できるとは夢にも思わなかった。正直、これだけ中身の多い試合をどうまとめていいのかよくわからない。
 大まかに言って、2つ書くべきポイントがある。1つは、遠藤選手の不運な退場と終了間際にリードを許したことによって3枚のカード(交代枠)を使いきり、新しいオプションが試せたこと。もう1つは、リードをされながらも決して心が折れることなく最後まで戦い抜いた戦闘意欲であろう。
 前者について、中田浩二選手が途中交代で得点したことと、なぜ交代させないのか理解できなかった加地選手の右サイドを遂に交代させたことは非常に大きい。特に西選手は鹿島枠などでなかなか出場できなかった鬱憤を晴らすかのような大爆発だった。
 後者について、もちろん、勝てる相手に追いつかれ120分間戦ってしまったこと、指摘すればキリがないほどの修正点があるのも事実である。しかし、この勝利はそんな細かいミスを帳消しにしてしまうような、チームに非常に強い勢いをもたらし、優勝を確信させてくれたに違いない。スタンドの中国人はもちろんブーイングばかり、レフェリーは誰かに買収されているのではないかと邪推したくなるほど無茶苦茶な判定ばかり、ピッチはそこら中がほじくれ(サイヤ人が戦った後のようだった)満足なプレイもままならない、連戦の疲労・・・など、ほとんど何一つ好意的な条件はなかったにも関わらず、闘志をむき出しにして、絶対に勝つという執念で追いつき、遂に逆転したことは歴史的にも絶対に大きな自信につながるはずだ。
 途中厳しい時間帯を我慢して、最後までテレビ観戦していたファンは、選手や関係者と同じように声を出して喜んだことだろう。テレビから選手たちの熱い情熱が伝わってきたことを、私があえてあれこれとコメントするのもダサすぎて止めたほうが無難だ。とにかく、この勢いがあれば、優勝しない方が不自然である。もはやブーイングや劣悪なレフェリーなど何も問題にならないのだ。
 感情的なまとめになってしまったのは、このエネルギーがあればきっと優勝できると期待できるからである。予想以上の成長を見せてくれた日本代表に、感謝の言葉を述べたい。

放送陣に対して
 こんなに素晴らしい試合ならば、ただ応援しているだけでも許されるだろう。以上。

採点の比較

右の列の赤字部分は「サッカーマガジン」より引用しています。

私の採点
サッカーマガジン
川口能活 6.5
*
田中誠
6.5
*
→中田浩二 6.5
*
宮本恒靖
6.5
*
中澤佑二
7.0
*
加地亮
4.5
*
→西紀寛
6.5
*
遠藤保仁
6.5
*
福西崇史 6.5
*
→小笠原満男 6.0
*
三都主アレサンドロ
6.5
*
中村俊輔
7.0
*
鈴木隆行
6.0
*
玉田圭司
7.5
*
ジーコ
6.5
*

 本日のMVPは非常に難しいのだが、もし一人だけ決めなければならないとしたら2得点の玉田選手であろう。準MVPは該当者多数で難しいが、中澤選手と中村選手はアジアカップに大活躍しており、通算でのMVP候補である。
 今日のような試合では、悪い選手を探す方が難しい。平均点に達さなかったのは加地選手のみであり、次は西選手がスタメンになるはずだ、ということくらいであろうか。
 川口GKはもう少しで止められそうなシュートだったため、延長戦のファインセーブを若干相殺してやや6.0に近い6.5とした。
 ディフェンス陣について、3失点は逆に相手を賞賛すべき素晴らしいコースや精度であった。それ以外のプレイは気落ちせず粘り強く要所を締める守備を見せ、中澤選手が得点したことは褒められて良い。田中選手の交代は、遠藤選手の穴を埋めるための戦術的な変更だったと思われる。終盤の宮本選手と中澤選手のあれだけ気迫のこもったプレイでなぜ3失点か不思議なほどである。決勝は無失点に期待できるだろう。
 中盤について、注目すべきは決勝を向かえ調子を上げてきた中村選手である。彼のプレイの出来は、クロスボールの精度で示すことができるような気がする。今夜の完成度は明らかにアジアレベルではない。西選手はこれぞ途中交代の選手というべき、初めて加地選手が代表に出場したような初々しさとアグレッシブさがあった。ミドルシュートやタイミングの良いインターセプトで勢いに乗りつつあった遠藤選手の退場は非常に悔やまれる。しかし、中田選手は決勝戦に欠場する遠藤選手の代役以上の働きをしてくれた。復帰2試合目で勘が戻ってきたようだ。小笠原選手は実況がいい加減でどのポジションに入ったのか定かではないのだが、パスのもらい手として目立っていた。 シュートの精度が悪かったのは、グラウンドが月面状態だったからだろうか。三都主選手はやや評価が割れるところだが、守備面の損失よりも攻撃面の貢献を評価した。左サイドをワン・ツーで崩すのはバーレーンの数少ないチーム戦術の一つであり、それが見事にはまった。しかし、攻撃面では間接的に得点に貢献しており、決勝ではより一層のバランスが求められる。
 フォワードについて、鈴木選手は得点こそなかったが、ポストプレイなど味方を生かすプレイでチームに貢献した。玉田選手はようやくの2得点で、自分の長所の生かし方をついに掴んだようである。伸びのあるドリブルで勝負すれば、アジアでもトップクラスであろう。
 ジーコ監督は、相変わらず固定メンバーは理解できないが、選手交代が見事に決まり、勝利に対するこだわりを選手に伝えたことを評価。決勝は延長戦のメンバー主体であることを祈るのだが・・・。



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