2004年8月15日(日曜日/曇) アテネ五輪 GL

パンテサリコ競技場@ギリシャ

 (U-23)日本代表 vs. (U-23)イタリア代表
(2-3)

得点
阿部(前半21分)
高松(後半46分)

失点
デ・ロッシ(前半3分)
ジラルディーノ(前半8分)
ジラルディーノ(前半36分)

警告
小野(前半25分)
大久保(後半47分)
今野(後半48分)

レフェリー
ウルグアイ人

NHK総合
解説:井原正巳、実況:栗田晴行

<日本代表メンバー>
GK:1 曽ヶ端準
DF:15 徳永悠平→4 那須大亮(前半19分)、3 茂庭照幸、2 田中マルクス闘莉王、
13 駒野友一→11 田中達也(後半0分)
MF:6 今野泰幸、5 阿部勇樹、8 小野伸二(Cap)、
10 松井大輔→7 森崎浩司(後半31分)
FW:9 高松大樹、16 大久保嘉人

サブ:18 黒河貴矢、12 菊地直哉、14 石川直宏、17 平山相太

「これが世界との差」

展望
 グループリーグ第2戦、相手は優勝候補の一つ、FIFAランキング9位のイタリアである。
 イタリアの詳細については予習不足で定かではないが、ガーナとは2-2で引分ており、伝統的なスロースターター振りを示しているようである。今夜の試合では、勝ち点3を奪おうとようやく本調子で試合に臨むことだろう。
 日本はこの試合に敗れれば間違いなくグループリーグ敗退となり、最悪でも引分に持ち込み、勝ち点をもぎ取らなければならない。
 現実的に言えば、ほぼベストを尽くしてパラグアイに敗れた日本代表が、パラグアイに勝るとも劣らないイタリア相手に勝利するシナリオを描くことは非常に難しい。パラグアイ戦で明らかになったように、技術的には優勝候補と数段の格差があり、小野選手の加入や驚異的な粘りだけではどうしようもないような気がする。それでも勝つことを前提にすれば、フォワードはスピード勝負ができるか、4失点したディフェンスラインの修正、完敗のショックを切り替えられているか、格上相手の先手必勝逃げ切りパターンのデザイン、絶対にあきらめないこと、・・・など、いくつか挙げられるものの、それが直接勝利に結びつくとは正直考えにくい。山本監督には何かしらのイタリア対策があるのだ、と思いたいものである。

予想スタメン

曽ヶ端
茂庭 闘莉王 菊池
小野  今野
徳永  松井
田中達 平山 大久保
 スタメン予想は何とも難しい。山本監督が無難にお気に入りを使うか、前回の敗戦の原因をどこに見出すか、イタリア戦に対する秘策はあるか、などオプションはいくつも考えられる。戦前の情報によれば、パラグアイ戦で責任を負う形で交代された那須選手は出場しそうな雰囲気がある。
 日本が勝つとすれば、早い時間の先制点で相手のリズムを崩し、自分達のペースをより長く維持するしかないだろう。私個人としては、守備陣を安定させ、3-4-3の3トップが最も破壊力があるように思う。
 もしこの試合で勝つか引分けるかしてガーナ戦に望みをつなげれば、それは大きな追い風となり、グループリーグ2位通過も濃厚となってくる。希望も込めれば2-2のドローと予想する。私の悲観的な展望を打ち崩してくれるような試合に期待している。

前半
 イタリアは勝ち点3を奪おうと序盤から勢いに乗っている。パス回しが非常に早く、このレベルに日本がついていくことはやや困難だったかもしれない。
 3分、イタリアは中央から左サイドにはたき、中央へクロスボール。徳永選手と今野選手のちょうど中間辺りに正確に飛び、それをオーバーヘッドでゴールされる。久し振りに見た芸術的なゴールだった。
 イタリアの猛攻は止まらない。8分、要注意人物ジラルディーノ選手が1対1で茂庭選手をかわし、落ち着いて右隅へゴール。試合開始早々これだけやられてしまうと、どうしても浮き足立ってしまうものである。
 しかし、パスワークが数段上のイタリアに対して、それでも日本はそれでも完全にあきらめることはないようである。駒野選手を使い、左サイドに大きく展開するなど、最近の試合では効果的な攻撃だった。
 そして19分、日本の右サイドからの攻撃が圧倒的に優勢なイタリアに対し、守備で対応し切れなかった徳永選手を外し(追記:負傷退場だったようです)、那須選手を投入し、駒野選手を右サイドに持ってきて3-5-2にフォーメーションを変更したようである。
 厳しい得点差において、この監督からのメッセージは多少良薬になったかもしれない。FKゲッターの高松選手が若干遠いものの直接シュートの打てるレンジでFKを得る。キッカーは小野選手ではなく阿部選手、直接狙ったシュートが素晴らしいコースに飛び、ゴールとなる。2点差ということで、イタリアには多少の油断もあったのかもしれない。
 これで多少勢いを取り戻した日本だが、さすが試合巧者のイタリアである。耐える時間帯は中央の守りを堅固にすることで追加点を許さない。バイタルエリア辺りでは、日本がワンタッチを何手か繋がなければ崩すまでにはならないようである。逆に攻撃については、カウンターアタック気味の戦術をしくことで、実は攻撃の意欲も失っていないのはさすがである。
 36分、またもや日本の右サイドからの突破から、トゥーリオ選手と那須選手の間に絶妙なクロスボールを放り込み、またもやジラルディーノ選手のヘディングで失点する。2失点目とほぼ同じような展開であるが、これは相手の技術が素晴らしすぎた。
 日本は何とか前半までに少しでも追いつこうと、あきらめの姿勢は見られない。那須選手の積極的なオーバーラップなどからチャンスを作る。大久保選手のヘディングなどは特に惜しかったが、これはGKの予想範疇なのか不運にも真正面に飛んでしまった。
 前半はこのままイタリアの横綱相撲で終わる。

後半

 駒野選手を下げ、田中選手を投入してのスタートとなった。サイド攻撃はあきらめ、とにかく前線に人数をかけて(3-4-3)少しでも早く追いつこうということだろうか。
 開始1分、田中選手のスルーパスから松井選手が裏へ飛び出すが、多少シュートを打たずもたついた隙にクリアされてしまう。8分にも田中選手のミドルシュートは情報へ外れるなど、惜しいシーンではあるものの、まだイタリアを混乱させるまでにはならない。
 一方のイタリアは3トップの変更への対応もほぼ万全のようである。経験がモノを言っているのだろう。適切な選手交代によって、省エネ&逃げ切り作戦のようである。日本の逆転のための時間はどんどん失われていく。
 31分、松井選手を下げ、森崎選手が投入される。この意義はやや理解に苦しむ。山本監督のお気に入り枠と邪推したくなるものがあるが、読まれている攻撃のリズムを変えるということだろうか。
 それでもイタリアが落ち着いていることには変わらない(むしろ逆に日本の流れが悪くなったように思う)。それでもフォワードは執念深く、大久保選手のタフなドリブル、田中選手の飛び出し(オフサイド)、高松選手の振り向きざまのシュートなどあったが、個人技だけで勝負することはなかなか難しいものがあった。
 ロスタイム、ややコーナーキックに近い阿部選手のフリーキックから高松選手がヘディングで追いつく。しかし、これは終了間際のイタリアの余裕と考えてもおかしくないだろう。これでイタリアが重い腰を上げ、多少本気になってくれる、程度の話である。ここからさらに同点に追いつき、勝ち越しに成功することがますます難しくなるという時に、ホイッスルは鳴ったのだ。

まとめ
 世界との差はこういうものなのだろう。残念ながら私の悲観的な予想がほぼ的中してしまった。確かに点数だけで見れば3-2で惜しいと思うかもしれないが、サッカーの総合力では点差以上の明らかな格差を認めなければならない。
 サッカーをそれなりにやったことのない方には難しい話になるかもしれない。私がサッカーをやる時にも語る時にも、最も好み、かつ重要視する言葉の1つが展開力である。展開力とは、練習で言えば4対2で次にどのようにプレイして、次のプレイを予測し、相手がこう動くのでその対処はこうする〜といった一連の流れのように、頭で何手か先をデザインし、それに対応する総合的な能力のことである(ちなみに、私はこの作業がサッカーの最も楽しい要素の一つだと感じている)。これで勝ち目がないと、まず試合で勝てないと言ってよい。
 イタリアと日本の差は、アジアカップの日本とアジア諸国の差に近い次元の差があったように思う。A代表は悪運なのか、最後の最後で勝ち残ってしまうのである。その理由の一つとして、やはり格下の原始的なプレイを漠然とでも予測できている(それでも失点は奇跡的なプレイが多かった)からなのではないだろうか。相手のプレイが自分たちの技量レベル以下で予想範囲内であれば、相手のお粗末な展開を予測し、最後の最後でも要所を抑えることができるはずだ。
 私は後半に決してあきらめないフォワードの田中選手と大久保選手は相当ガッツがあると感心した(正直に言えば、もう無理しないであきらめても良いのでは、と思った)。他の多数のメンバーはその差にすら気づいていないのでは、とも思った。
 彼らを見ていると、まず勝てない相手になぜ勝てないのかもわからず躍起になっているアジア諸国とダブるものがあった。執念のセットプレーからの2得点は本当に良くやった、と思う。決してそのがむしゃらな姿勢を馬鹿にする気は毛頭ない。ただ、私が応援する日本代表のこんな惨めな姿を見て、何だか複雑な気分になった。

 こういった致命的な差を理解すれば、試合放棄したくなるのも止むを得ないだろう。私は前半の2失点で試合を投げた。小野選手あたりは相当ストレスを感じていたように思う。彼個人はイタリア代表の一人一人に決して劣るものではないが、如何せん他のメンバーとの力量が大きすぎた。8月に入ってからの突貫工事では、そのギャップを埋めることは出来なかった。

 こんな負け方をすれば、山本監督も前向きなコメントは残せないだろう。ロッカールームで最も意気消沈し、言葉も出ないのは彼かもしれない。ユーティリティ性を重視しさまざまなオプションを試してきたが、結局世界レベルで通用するのは3トップのオプションくらいだっただろうか。中盤を中抜きしたような戦い方で、世界のトップレベルと張り合うには、多少の小細工では通用しないことが明らかになった。
 イタリア対策が何だったのかと言われれば、早期に崩壊した4-4-2のシステムのことだったのだろうか。私が前々から指摘してきたように、もっと重要なのはバイタルエリア付近でのミドルシュートやワン・ツーなどで中央の厚い守備陣を翻弄する仕掛けであったように思う。明らかに格上で極めて堅固なイタリアの守備網に対し、ただフォワードの人数を3枚に増やし、ただ強引に縦に突破する攻撃を何度も繰り返し、私は正直恥ずかしさすら感じた。そんな泥臭い攻撃で洗練されたディフェンスから得点できるはずがない。
 結局は、これまでにイタリアやパラグアイレベルの相手と試合を重ねてこなかったことが原因だろう。世界との差を認識することなく、無謀な戦いを挑んでしまったという気がしてならない。
 谷間の世代をオリンピックに出場させた手腕は褒められてしかるべきである。しかし、攻撃のコンセプトが定まらず、結局はOA枠の小野選手に全てを任せてしまうなど、ぶっつけ本番で臨む姿勢は責められても仕方がないだろう。

 今日のウルグアイ人のレフェリーはいくつか納得しかねるジャッジが目立った。しかし、結果的には理解不能なジャッジがどちらにもほぼ平等にあったため(若干イタリア寄りか)、これは仕方がないと泣き寝入りするしかないだろう。

 オリンピックにはやる気がないなど揶揄されるイタリアだが、先日のパラグアイに勝るとも劣らない(個人的には若干イタリアを押す)素晴らしいチームであった。特に個人の力量はもしかすると参加16カ国中ベストかもしれない。
 元々左サイドが強いのか(実況では詳しく触れられなかった)、パラグアイ戦でも狙われていた右の徳永サイドを徹底して狙い、早い展開で中央の守備を分断し、絶対的に優位な個人技勝負を仕掛ける。早いパス回し、早いプレス、相手の背後のスペースを狙う、正確無比なプレイなど、日本からすれば、相手が強すぎてお気の毒であると開き直れるほどの力量だった。ここは素直にイタリアを褒めよう。パラグアイ対イタリアは事実上の優勝決定戦かもしれない。

放送陣に対して
 この日は私のレポートにおけるNHKデビューである。この放送は胡散臭いというレベルで非常に日本贔屓である、と感じた。
 井原氏の解説を聞いていると、私が小学生の頃所属していたクラブチームのコーチを思い出した。彼の本職は消防士であり、今の私からすれば彼は戦術なぞまともに理解しておらず、子供たちに伝えることが相当下手だったと断言できる。
 井原氏の解説は非常に断片的、ケースに応じて適当に喋っているだけだと感じた。「〜ですけどね」と〜の部分はかなりのバリエーションがあり、確かにそれっぽいことを喋っているのだが、結論は、「とにかくそれでも耐えて頑張るしかない」、というガンバリズムでしかない。そんな結論では、分析的な切り口についてはあまりに寂しすぎる。栗田氏も日本が勝てないことを視聴者に認識させないかのような話題の取り繕い方が達者であった。これが日本的な体質、NHKの特徴なのだろう。

 ポジション交代は監督が意図した最も顕著な戦術変更なのだが、それに対して両者が全く鈍感であることからして、彼らはおそらくチームのコンセプト、デザイン、戦術を見透かすことが苦手なようである。それが定かでなければ、細かい個人戦術レベルの話をいくらしたところで、視聴者はたくさんのサッカー用語を聞かされるだけで、ほとんど何も理解できないだろう。
 私はかなりの戦術マニアであるが、栗田氏と井原氏のコメントを聞いていて、いくつかのまともなものについても私の考えとは異なっていたし、彼らが何を意図して発言しているのか理解しがたいものがあった。また、時に長谷川健太氏のような選手口調になったりと、それは視聴者を飽きさせないための時間しのぎなのか、それとも解説の意義を理解していないのか、行き当たりばったりでごまかしているような気もする。単にNHK向けに無知な視聴者を対象にしているのかと邪推したくなった。私はこの手の腫れ物を扱い、真実をごまかすような放送が嫌いである。

 私の中ではフジテレビの風間氏と青嶋氏は不動の一位である。彼らは試合を分析し、それを味わう楽しさを理解し、それを視聴者に伝える使命を良く認識している。フジテレビによる欧州リーグ放送が楽しみだ。

採点の比較

右の列の赤字部分は「サッカーマガジン」より引用しています。


私の採点
サッカーマガジン
曽ヶ端準
5.5
5.0
徳永悠平
5.0
5.0
→那須大亮
5.5
5.5
茂庭照幸
5.5
4.5
田中マルクス闘莉王
5.5
4.5
駒野友一
5.5
5.0
→田中達也
6.0
6.5
今野泰幸
5.5
5.5
阿部勇樹 6.5
6.5
小野伸二
6.0
5.5
松井大輔
5.5
5.5
森崎浩司
5.5
5.0
高松大樹
6.0
6.0
大久保嘉人
6.5
6.5
山本昌邦
5.0
*

 勝てなければどんなに良いプレイも意味がないと考えている筆者にとって、勝利できず、予選リーグ敗退ということで、何を基準に評価すべきかはっきり言ってよくわからないし、採点する意義があるのかさえもわからない。長期的に考えれば、今日活躍した選手はドイツワールドカップでも活躍できるということだろうか。そこまで先のことに保証は持てないが、それくらいしか切り口を見出せない。相手が強すぎると言えば全てそれだけで片付きそうな感じもする。
 曽ヶ端GKは、これぞOA枠という程のファインプレーはなかった。この日も先日間接FKを与えた6秒ルールに引っかかっていると思われるプレイが見られた。
 ディフェンスラインについて、3失点で評価することもない。個人レベルの力量では明らかに勝ち目がなかった。かといって、組織プレイにはめられるほどイタリアはどん臭くなかった。アテネ経由ドイツ行きを忘れず、ワールドカップでリベンジを果たして欲しい。那須選手のオーバーラップはなかなかタイミングが良かったくらいだろうか。
 中盤について全体的な評価は、イタリアに良く研究されていた、ここでも勝ち目がなかった。サイドについて、徳永選手は機能しない、狙われているという理由で、GL初戦の那須選手のような状況での交替だと思われた。駒野選手は、サイドでボールをもらえるところまでは良かったが、それ以降は世界レベルでは厳しかった。交代は戦術的なものと考えている。ボランチについて、今野選手、阿部選手ともめまぐるしい展開に正直ついていけなかった。それでも阿部選手のFKは、油断しているイタリア相手ならば充分通用することがわかった。小野選手は、実は試合中イライラしていた一人かもしれない。後半は特に、消極的に待ってもらう姿勢が見られた他のメンバーにパスを出すチャンスがなかった。本人を責めるのは酷だろう。松井選手は、彼もボランチと同様、イタリア相手では展開力に違いがありすぎた。森崎選手の交代は理解しかねる。この司令塔というのも、やや突貫工事が否めない。これではイタリアに通用しないのは言うまでもないだろう。
 フォワードについて、全体的に見れば、もっとも気合いが入っていたポジションだったかもしれない。高松選手は鈴木選手と高原選手と足して2で割ったような感じだろうか。高原選手欠場の繰り上げ当選としては、期待以上の活躍だったように思う。大久保選手はもしかするとこのGLのMVPかもしれない。本番に向けてピークを持ってくることができたので、2年後に期待している。田中選手はこの中で最も攻撃的で、相手を引っ掻き回す役割としては、日本最高の技術を誇っている。
 山本監督は、交代もやや不可解で、世界レベル対策はほぼ実現できなかった。また備忘録を出版して、この2年の成果のコメントを聞きたい。2002年のワールドカップほどの充実感は書けないだろう。
 


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