「帳尻を合わせて快勝」
展望 アジア一次予選第4戦、ここまで3戦全勝、アジアカップ覇者の日本(FIFAランキング18位)が1勝2敗のインド(同138位)を相手に敵地コルカタに乗り込む。 先日のアジアカップを思い出せば、日本代表は勝負どころを理解し、その状況に応じて選手一人一人があれこれと試行錯誤し共通理解を深め、運も味方しつつ何とかアジアレベルでは優勝することができた。この試合ではさらに海外組が合流(中村選手は欠場)し、1週間の合宿を経て戦力が整っていることから、日本代表がこのインド相手に敗れるはずがないと信じている。ポイントは、いかにして勝つべきか、理想的には事実上の最終決戦となろう10月のオマーン戦(アウェイ)を見据えた大量得点勝利である。 より確実で、より安全な勝利のためには、なるべく早い時間に得点し、スロースターター気味の序盤での失点を防ぐことにある。グループ1位で勝ち抜けとなる可能性はオマーン以外にないことをインドも理解しているだろうから、先制点が早ければ早いほど、戦意喪失しやすくなる。スキル、フィジカル、ソウル・・・、全ての面においてインドが日本を凌ぐ要素はないと言っても過言ではない。インドがそこから逆転するだけの力量はまずない。あえてインドが日本に勝っている点を挙げるとすれば、12万人ものインド・サポーター(スタジアムは老朽化しており、逆に崩落事故などが心配だが・・・)と厳しい天候であろうか。しかし、それさえもメンバー間で理解され、対応策も練られているはずだ。 戦術的に特に有効と思われるのは、アジアカップでも決め手となったセットプレーであろう。高さでは日本の何人かの選手が明らかに分がある。また、小野選手と本山選手(司令塔での出場が濃厚)というパスの出し手が増えたことから、最近消極的な両サイドも多少は走らされることが増え、流動的な動きも目立つようになるだろう。とはいえ、アジアカップのように酷暑におけるスタミナの消耗を考え、3点差以上になれば早い時間に省エネサッカーを展開し、勝ち点を重視する可能性も否定できなくはない。 雑誌やインターネットで調べている限りでは、選手間で議論されたアイディアに対して、ジーコ監督は独自のアドバイスを加えて修正するのが得意なように思える。チーム戦術を選手主体で作り上げるような意図が見え、かつ結果も残すこすことができれば、その勝利は実り多きものとなろう。その方向性は決して間違っていない。 予想スタメン 両サイド、特にサントス選手のコンディションが気になるが、私の予想はこのスタメンである。福西選手、高原選手、鈴木選手、中澤選手という高さと、パスの供給元となる小野選手、本山選手に期待したい。ややコンディション不良気味の久保選手は途中出場と予想する。 たとえ両翼が失われたとしても、ブンデス・リーガのような露骨なフィジカル勝負でも、単純な個人技勝負だけでも、日本に大量得点での勝機がある。この試合、悲観的に3-0、現実的に4-0、理想的には7-0以上での勝利と予想する。 前半 日本代表は勝利を確信したのか、やや落ち着いたスタートである。一方のインドは12万人ものサポーターに後押しされ、実力はともかく気合いだけは充実しているようである。 日本は左サイドのサントス選手を起点に攻撃を展開する。しかし、暑さ(気温30度、湿度90%)のためなのか、今ひとつプレイの精度に欠け、ややムードを壊してしまう。インドはホームながらもまるでアウェイのような仕様で、ほぼ5バック以上という堅固な最終ラインで引いて守ることで、日本の攻撃を見事に防いでいた。 日本は焦ったのか、イラついたのか、最も相手の得意とする守備に真っ向勝負を挑み、いたずらに時間とスタミナを消耗してしまった感がある。単調に前線へロングボールを放り込み、失敗を繰り返し、自らのリズムを崩すという悪循環に陥った。一方のインドはとにかく超密集で引いて守ってカウンターアタック、おそらくそれしかできなかったのだろう。日本はスペースのない裏ばかりを狙うのではなく、堅固なラインの手前でのワン・ツーやミドルシュートといった仕掛けなど、恒例のように引いた相手対策が不十分だったことを指摘せざるを得ない。 中盤には、日本は集中力を欠き、ミスを連発するなどらしくない守備と裏狙いのワンパターンな攻撃が読まれるという悪い時間帯が続く。小野選手のボレーやセットプレー関連など惜しいものもあったが、インドペースということもあり好守に阻まれた。 しかし、このチームのごっつぁんゴール男、鈴木選手は強運の持ち主である。サントス選手のパスを本山選手がヘディングで壁パスでリターン、そのシュートのこぼれ球が鈴木選手の目の前に転がり、ゴールする。前半45分ながら、これでようやくリズムが変わったように思えた。 ハーフタイム 日本では考えられないことだが、スタジアムが試合中に停電となり、ゲームが中断する。最悪試合中止さえ考えられたが、運良く復旧し、30分ほど遅れながら試合再開となる。 他の地域でも日本ではまずこのような事態は起こらないことを学んで欲しいものである。 後半 こういったトラブルの直後、概して試合の流れが変わりやすいが、逆に日本は冷静になる時間が取れたようである。横パスを多くし、追加点を狙う姿勢が伝わってくる。 14分、小野選手のFKがインドの壁の割れ目を突き抜け、意表を突かれたキーパーが反応できず、ゴール。これでほぼ試合が決まった。 中盤、余裕からかまただれる時間もあったが、22分、高原選手に変え久保選手を投入する。27分、久保選手がバイタルエリアでシュートを打つかと思われたが、左のサントス選手に展開し、逆サイドにクロスボール、それを福西選手がヘディングで押し込みゴールする。ここぞという時に、思いもよらないプレイを平然とやる久保選手はさすがである。 ジーコ監督は攻撃の手を緩めない。田中選手を外し、藤田選手を投入し、4-4-2にフォーメーション変更する。インドの対応力不足もあっただろうが、このシステムの方がより効果的だったように思えた。 藤田選手の足を見せる反則で誤ってレッドカード(主審が2枚目のイエローカードと勘違いしたものの、もちろん正しくは一枚目のイエローカード)が出されるFK、この日最大のピンチも凌いだ。川口GKがサッカーボールキックを食らいながらも そして42分、小笠原選手のCKから中澤選手が中央でかすり、そのこぼれ球を宮本キャプテンが押し込み4-0で勝利。序盤に苦しみながらも、最後の最後で完勝になってしまうジーコジャパンはさすがである。 まとめ 前半のゴールシーン前までは、さまざまな理由で序盤からリードを取ることができず、最悪勝てないこともありうるかと考えられたが、ハーフタイムにいろいろと指示され、後半の3得点に繋げることができたと思われる。この結果にケチをつけるつもりはないので、いくつか気になったことを指摘するくらいしかできない。 より確実に勝負をつけるという観点からすれば、立ち上がりの攻撃についてもう少し入念な打ち合わせがあっても良かっただろう。3-5-2ならば司令塔は本山選手のような走りこむタイプの選手よりも、小笠原選手のようなタメを作れる選手がより相応しかったように感じた。あまりに単調な前線への放り込みだけでは、さすがにインドにも通用しない。また、さすがに右サイドの加地選手はもう交代させても良いはずだ。 それでも結果だけは文句のつけようがない大勝なのだから、ジーコマジックは何なのか、もう少し気長に見守る必要がある。 今日のシリア人のレフェリーは、イエローカードに関してやや神経質な印象もあったが(田中選手は足の裏を見せたため?)、ジャッジ自体はまず中立で安定したものだった。 放送陣に対して TBSはEURO2004を経てから非常に質が高くなった。実況の金田氏は的確なコメントが多く、私の仕事は随分奪われてしまった。特に、ハーフタイムの停電時に「近くの畑からホタルでも捕まえてくるしかないですねぇ」というコメントができるだけの余裕はさすがであった。実況の清水氏は、サッカーのルールを熟知しており、サッカーの楽しさを伝えることができ、やたら騒がしくない数少ない人材である。特に、アゥエイという発音(文字では表せない)が独特で良かった。 今夜の放送は停電というアクシデントがあったにもかかわらず、特に動揺することなく放送を延長し、最後まで試合を放送してくれたことに深く感謝したい。私の中では総合的にフジテレビのサッカー中継が依然ベストだが、TBSの追い上げも物凄いものがあると評価している。 採点の比較右の列の赤字部分は「サッカーマガジン」より引用しています。
本日のMVPは該当者なし。 川口GKはアジアカップの勢いをそのままに安定したプレイだった。総合格闘技のようなサッカーボールキックを食らうも、立ち上がったのは素晴らしい。 ディフェンスは、暑さからからしくないパスミスがいくつか目立った。しかし、無失点で抑えたことは平均点以上の評価をされてよい。 中盤について、小野選手は不運もありやや不調気味だったように見えたが、得点で帳消しにした。福西選手のフィジカルの強さは今後も武器になろう。もう少し運動量があるとより望ましい。左ウィングのサントス選手は、久し振りに攻撃の起点となり、クロスボールやドリブル突破などアグレッシブで良かった。加地選手はほとんど目立つことなく、昔の活躍が懐かしい。本山選手はヘディングでサントス選手に折り返した貢献くらい。他のクロスボールなどは密集したインドに対して有効な攻撃とは言いがたかった。小笠原選手は出場時間が短かったものの、4-4-2のこのポジションではなかなか機能していたように思えた。藤田選手はプレイ時間が短いため評価すべきか悩むところだが、不必要なファールをもらい、アピールにも欠けた。 鈴木選手はごっつぁんゴール賞。その他の決定力はイマイチ、反則を取る回数も少なめだった。高原選手は病み上がりなのか、プレイの精度に欠けた。本来ならばもっと良いプレイが出来るはずであるから、試合に出場しつづけて試合感を養って欲しい。久保選手は現在日本最高のストライカーである。意表をつくプレイは、おそらく本人も上手く説明できないだろう。コンディションを整えて、フル出場して欲しい。 ジーコ監督は前半に指示を出せなかったのは痛いが、後半盛り返し、システム変更まで持ち込んだことを評価。この勝利に奢らず、次はより早く試合を決定付けられるように選手をいじってもいいのではないだろうか。 |
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