2004年10月13日(水曜日/晴) W杯アジア一次予選

スルタン・カブース・スポーツコンプレックス@オマーン マスカット

 日本代表 vs. オマーン代表
(1-0)

得点
鈴木(後半7分)

失点
なし

警告
小野(前半15分)
三都主(後半34分)

退場(非公式)
鈴木通訳(後半20分)

レフェリー
中国人

フジテレビ
解説:風間八宏 実況:青嶋達也 リポーター:長坂哲夫

<日本代表メンバー>
GK:23 川口能活
DF:2 田中誠、5 宮本恒靖(cap)、22 中澤佑二
MF:21 加地亮、18 小野伸二、15 福西崇史、14 三都主アレサンドロ、10 中村俊輔
FW:11 鈴木隆行→28 玉田圭司(後半48分)、20 高原直泰

サブ:1 楢崎正剛、25 茶野隆行、6 中田浩二、8 小笠原満男、19 本山雅志、9 久保竜彦

「大人の勝利 by 風間八宏」

展望
 ワールドカップアジア一次予選、事実上の最終決戦となるオマーン戦(FIFAランキング50位、2004年の対日本は、7月のアジアカップで1-0、2月の日本で1-0で 敗れている)を遂に敵地で迎える。日本はFIFAランキング19位と確かにアジア最強であるが、こういったGL突破をかけた決戦においては、ランキングな どほぼ役に立たないと割り切ったほうが良いだろう。いずれにせよ、これまでジーコ監督がやってきたこと(不動のスタメン、弾丸ツアーなど)が正しかったの かどうか、全てはここで判断される本当の審判の日である。両チームにとって今年最も重要な試合である。
 念のためGL突破の条件を確認しておくと、この試合で日本代表がGL突破を決める条件は少なくとも引分以上である。1点差で敗れると勝ち点で両チームが並び、GL最終試合での得失点差争いとなり、それ以上の大敗になると自力突破が不可能となる。
 戦前の情報を総合すると、おそらく日本は比較的守備的な試合運び、何かの決勝戦のように1点が勝負を決めることを理解したような慎重な立ち上がりとなる だろう。これは、まさに直前に現地到着となり、疲労やスタミナなどコンディションにやや不安が残るためである。とはいえ、GL突破に関して日本の有利はま ず動かない。戦局を動かしそうないくつかのポイントについて言及したい。
 まず攻撃については、アジアカップで見られたような鈴木選手が反則をもらって、中村選手のフリーキックという地味な必勝パターンが役に立つはずだ。最近 のラテンのリズム(と言うべきなのか)を思い出すと、弱い相手にも変に付き合ってしまい苦戦するものの、帳尻を合わせてなぜだか最後は勝つという試合運 び、アジアの横綱相撲は今夜も見られるだろうか。この試合展開は、いまだにその理屈が解明されていない謎として非常に興味深い。
 もし日本が失点するとすれば、試合開始直後のスロースターター気味の時間帯であろう。2004年のオマーンとの2試合を振り返ると、日本対策を万全にし てきた結果、オマーンは運動量を増やし、カウンターアタックを仕掛け、不安視される日本の両サイドは必ず複数人で崩す…といった、個人の役割とチームの約 束事が明快であった。このような軍隊サッカーにおいては、地の利が大きく影響し、より長く集中力とスタミナを維持しやすくなる。
 仮に日本がリードされたとしても、 そこから追いつき、逆転する可能性はあるはずだが、逆にオマーンが同じことをできるだけの技術と精神力はないと思われる。ホームの勢いを殺すためにも、早 い時間帯の先制点、そしてとにかく徹底して引いてリードを守りきるというゲームプランがより確実であろう。攻撃にパスの出せる小野選手や、久保選手のよう なアジアでも例外的な動きをするフォワードが加われば、日本が得点できないとは思えない。守備ではオマーンの縦に対する素早い突破を防ぐことはきちんと対 策がなされているはずだ。従って、最悪でも引き分けには持ち込めることは信じて疑わない。
 負ければジーコ監督は解任され、二度と日本の地を踏めないような国賊扱いされるだけだ。彼はそれがわからないほどバカではないし、選手たちは勝つために入念な議論を交わしているはずである。今夜また日本の謎が見られると期待している。
予想スタメン

川口
田中 宮本 中澤
小野 福西
加地      三都主
本山
高原 鈴木

 欧州組を加えた不動のスタメンが予想される。今夜の試合のような自らの進退がかかった場合、ジーコ監督の選手交代はかなり早い傾向にあるように思う。状況に応じて不動のスタメンを崩し、守備と攻撃のバランスを的確に調整するだろう。
 なお、直前になってレフェリーが悪名高きマレーシアの猿顔の審判から、中国人レフェリーに代えられた模様である。アウェイにおいても公正なジャッジを望んでいる。
 不安のないチームは存在しない。この試合が今後の日本代表の運命を決めるといっても過言ではないし、無論日本が勝つつもりで応援したい。この試合、2-1で日本の勝利と予想する。

前半
 予想通りといって良いだろうか、オマーンは短期決戦で試合開始からまさに猛攻を続けた。マチャラ監督の指示としては、縦への突破を複数人で、スピーディ に、チャンスがあれば多少遠くからでもクロスやシュートを積極的に狙うこと、あたりだろうか。軍隊サッカーとしては、非常に高い完成度を誇り、前半35分 あたりまで集中と体力が続いたのは賞賛に値しよう。
 しかし、今夜の日本は相手が悪かった。オマーンがボール支配率を高め、中盤をコントロールすることはできても、得点までは結びつけることはできなかっ た。最後の最後で、中央のディフェンダーがそれを知っているかのごとく必ず良い仕事をして失点しないのである。オマーンの猛攻は必ず息が切れると予測し、 反撃はそこから始まった。
 日本は数少ないチャンスでも、相手の背後を狙い、これがオマーンの動揺を誘うことになる。予想通り、一度崩れてしまえばそこから立て直すだけの応用力、経験、実力はオマーンにないようである。
 オマーンの厳しい攻撃を凌ぎ、次第に日本ペースに傾きつつあるところで前半が終わる。
 
後半
 メンバー交代もフォーメーションも前半のままで後半が始まった。
 オマーンは異常に執念深く、相変わらずチェックは厳しい。相当訓練されているように思う。しかし、日本は一枚上手の相手であった。前半7分、左サイドに 切れ込んだ中村選手がファーにクロスを放り込み、注意がそれほど行き届いていなかった鈴木選手がディフェンスを追い抜いてヘディングシュート、予測して出 来なかったキーパーは間に合わずゴールとなる。試合の流れが変わりつつある時のゴールほど効果的なゴールはない。この早い時間帯のゴールによって日本は チャンスを察知したようであった。
 高原選手のシュート、福西選手の飛び出し、サントス選手のクロス、小野選手のスルーパスなど、日本に鮮やかな攻撃が見られるようになってきた。守備に関 しても、クロスを放り込まれても中澤選手は空中でほぼ無敵状態、中央の粘り強い宮本選手などでやられそうで実はやられない時間が続く。
 こうなると、少なくとも勝たなければ鳴らないオマーンは絶望的である。時間を消耗させられる形で勝利を逃した。ミドルシュートがもし良いところにこぼれれば、もしかすると…というシーンがあったかもしれない。ただし、それでも日本の大人のサッカーは見事である。

まとめ
 私の展望がほぼ当たり、テレビの実況陣に仕事を奪われてしまったため、特にコメントしたいことはそれほど多くない。私は「謎」と表現し、風間さんは「大人のサッカー」と表現したそのサッカーについてコメントしたい。
 もう少し攻撃を意識すれば、3-0くらいでも勝てたのではないか、という気がしないでもない。守備の時間が長く、シュートの数も決定的なチャンスもオマーンの方が多いことから、何かしら物足りなさを感じることもある。
 しかし、90分間の試合展開の移り変わりを予測し、長い時間我慢し、瞬間的に正確無比な攻撃を仕掛けられるという静と動のバランスを意識できるように なったことは正直信じがたい。私は「謎」と表現したが、どんなに厳しい試合であっても、それが予測可能なものならば、対策を考えて何とか耐えることも可能 なのかもしれない。
 とにかく前半の猛攻(90分間続けることは不可能である)を凌ぎ、息切れした後半で反撃に転じた。そして中央の守りを厚くし、何とか逃げ切るというゲームプランはアウェイ仕様として何ら文句のつけようがない。
 守備については、クロスボールを放り込まれ、ミドルシュートを被弾し、一見すると一方的にパンチを浴びているようだが、実は中央でのガードが非常にしっ かりしているのである。ここだけ守れば失点しない、という集中と根気は今後も生きてくるはずである。攻撃については、守備との兼ね合いで今夜は少なかった ものの、裏を狙えば崩せると理解すると、それを繰り返して試みる嫌らしさも見事である。
 最終予選においてもこれだけで勝ち残れるとは断言できない。とはいえ、これが大きな武器であることは間違いない。少なくとも他の東西南北アジア諸国でこ の手のプレイを実行できるチームは存在しないのではないだろうか。たとえ欧州相手でも、なぜかこのような試合展開ができるような気がする。

 また、忘れてはならないのがオマーンの素晴らしい集中力と統率力である。今夜だけミドルシュートの精度が良ければ、もしかすると日本が負けていたかもし れない、とさえ思う。マチャラ監督は勝つために最高の努力をし、選手たちも最高のパフォーマンスを見せたのは疑いようがない。今夜勝てなかったのは、日本 が多少経験豊富なプロであっただけだ。
 こんな敗北で決して腐ることなく、近い将来日本の良きライバルとして互いに切磋琢磨し、アジア全体のレベルアップを担えるよう期待している。FIFAラ ンキングというのは経験値のようなものである。西アジアのお隣のエリアとなる欧州のチームと対戦を経ることで、2010年の南アフリカワールドカップでは 中東のトップクラスとしてFIFAランキングもアジアトップクラスに君臨してくるのではないだろうか。

 中国人のレフェリーは反日感情を持ち込むことなく、公正に、むしろ若干日本贔屓気味に笛を吹いてくれた。

 最後に、鈴木通訳が退場処分になったことも忘れてはならない。私の記憶によれば、監督がレフェリーに暴言を吐いたり(当然レッドカード)、ピッチに足を 踏み入れて試合を中断したという理由(ボクシングならば、セコンドがリングに侵入するとその選手は失格になると思う)で退場になったことは、確か数回は あったはずである。それでも年に数えるほどしかないレベルの珍事であるが、通訳が退場になったというのは記憶にない。前トルシエ監督の通訳ダバディ氏に比 べると、残念ながら甘いマスクも華やかなルックスもそれほど持ち合わせていない鈴木氏は、この事件でも日本のサッカー史に名を残したのは間違いない(ギャ グになってないか)。

放送陣に対して
 ゴールデンタイムの青嶋さんはやや色気を出しすぎて空振りすることもあるのだが、深夜枠(23時以降?)になるといつもの欧州リーグのようなサッカーを 味わうというスタイルの大人の実況だった。風間さんは私の大好きな解説者であり、この試合も私の言いたいことをほぼ全て代弁してくれたようなネットライ ター殺し振りだった。彼ほど成熟した大人の解説者は他にいないのではないだろうか。
 あえて不満を述べれば(私は全くそう思わないが)、あまりこのようなタイプの放送に慣れていないサッカー初心者は、退屈でほぼ理解不能で眠くなったこと だろう。それでも戦術といった言葉に少しでも関心のあるファンならば(いわゆるキャーキャー騒ぐだけのミーハーファン以外は)、より深くサッカーを楽しめ るようになり、お子様観戦を卒業するきっかけになることだろう。私はそういったファンが少しでも増えることを願って止まない。

採点の比較

右の列の赤字部分は「サッカーマガジン」より引用しています。


私の採点
サッカーマガジン
川口能活 6.0
6.5
田中誠
6.0
7.0
宮本恒靖
6.0
7.0
中澤佑二
6.5
7.5
加地亮
5.5
6.5
小野伸二
6.5
6.5
福西崇史
6.0
7.5
三都主アレサンドロ 6.0
6.5
中村俊輔
6.5
6.5
鈴木隆行
6.5
7.0
→玉田圭司
-
-
高原直泰
5.5
6.5
ジーコ
6.0
6.5

 本日のMVPは中村俊輔選手である。アシストは当然として、中盤がかき回されていた前半においては、泥臭い仕事を嫌がらず、運動量豊富に走り回ったこと も評価したい。セリエAで鍛えられたのだろう、身体のバランスが良くなり、以前の華奢なイメージは、少なくともピッチからは伝わってこなくなった。準 MVPは難しい。抜群の安定度を誇る中澤選手、得点にはならなかったが再三好機を作った小野選手、得点者の鈴木選手あたりだろうか。
 今夜の試合では、出来の悪い選手を探す方が難しい。
 川口GKは一度宮本選手と接触して危ないシーンを作った以外はほぼ完璧な仕上がりだった。相手のGK以上にミスや失点の可能性は感じなかった。
 ディフェンスについて、田中選手は前半やや動きが重かったものの、次第に調子を上げ、決定的なGKのこぼれ球のシュートを防いだ。宮本選手は、最終的に は中央のゴール前を死守するという作戦が見事に決まった。中澤選手はアジアでも有数のディフェンダーとなったように思う。ディフェンスにとって言葉の壁は より高くなるが、近い将来欧州でプレイしても、日本人として彼を送り出すことに何ら恥はない。プレイの確実性、1対1の強さ、そしてヘアースタイルのイン パクトなど、他の日本人ディフェンダーを遥かに凌いでいる。
 中盤について、右サイドの加地選手は残念ながら相変わらずほとんど機能せず。守備も攻撃も中途半端で残念である。左サイドのサントス選手は意外にも守備 的に貢献し、かといって攻撃もおろそかにならず久し振りにバランスが良かった。しかし、個人的には彼の攻撃(アーリークロスやドリブル)を生かしてこそ、 チームに貢献できると考える。ボランチについて、小野選手はオマーンの素早い突破に追われながらも、数少ないチャンスにおいて多彩なパスを魅せた。福西選 手はチャンスと見るや飛び出しは良かった。しかし、オマーンのような運動量が多く縦に走りまくる相手には、もう少し運動量が必要な気がした。バランス的に は、小野&遠藤のコンビがより確実と考える。司令塔の中村選手はほぼ文句なし。今夜の最も頼れる男であり、汗をかく仕事も進んでこなした。理想的には、ボ ランチがその負担を少なくすることで、彼の攻撃力(サイドへの展開といった正確な中遠距離パスなど)がより生きてくると思う。
 フォワードについて、
幸運な男強 運の男鈴木選手のゴールは後半の良い時間帯だった。オマーンに脅威を与えたとは言い難いが、得点したことで仕事はこなしていると言えよう。高原選手は相手 のファインセーブに防がれることもあったが、全体的に最後の詰めというかキレが多少悪かったように感じた。彼は短い時間であれ飛行機に乗るとコンディショ ンを崩しやすいのかもしれない。玉田選手の投入は単なる時間稼ぎだろう。評価は出来ない。
 ジーコ監督は、勝っている時(悪くない時)にはチームをいじらないということで、後半からも選手交代をせず、その結果早い時間に得点になることを期待し て我慢したことは結果論で良かった。後半から田中選手を下げ、本山選手あたりを投入して4バックになると予測していた。


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