2005年8月3日(水曜日/晴) 東アジア選手権2005

大田競技場@大田(デジョン)

 中国代表 vs. 日本代表
(2-2)

得点
茂庭照幸(後13分)
田中達也(後42分)

失点
リー・ジンユ(前37分)
ジャン・ヨンハイ(前43分)

警告
シュー・ユンロン(前半20分)
ガオ・リン(後半7分)
ジャン・ヨンハイ(後半12分)
チェン・タオ(後半31分)
リ・レイレイ(後半38分)
駒野友一(前半42分)
三都主アレサンドロ(後半31分)

レフェリー
キム・ドンジン(主)(KOR)
ウン・ジョンボク(KOR)
アルパシャ(PLE)

テレビ朝日
解説:セルジオ越後、ピッチ解説:川添孝一、実況:田畑祐一


<日本代表メンバー>
GK:1 楢崎正剛(cap)
DF:3 茶野隆行、20 坪井慶介、29 茂庭照幸
MF:17 駒野友一、26 今野泰幸、30 阿部勇樹
25 村井慎二→14 三都主アレサンドロ(後半29分)
19 本山雅志→28 玉田圭司(後半21分)
FW:9 巻誠一郎→16 大黒将志(後半21分)、27 田中達也

サブ:12 土肥洋一、23 川口能活、2 田中誠、5 宮本恒靖、21 加地亮
22 中澤佑二、4 遠藤保仁、8 小笠原満男、15 福西崇史

「敗北に等しい引分」

展望
 東アジア選手権第2戦、中国戦(FIFAランキング56位)である。日本は北朝鮮にまさかの0-1での敗北、一方の中国は3人の退場者を出しながら、韓国に1-1のドローという初戦であった(筆者は中韓戦を見ていない)。
 先日の北朝鮮戦の敗因を考えると、北朝鮮は韓国の同胞たちにサポートされ、信じられないくらいのが気合いがみなぎっていた。対する日本は、疲れやその勢いに飲まれていたのだろうか、自らのミスにより自滅してしまった感がある。北朝鮮にとって10回中1〜2回できるかできないかのベストゲームであり、日本にとっては同じようにワーストゲームだった。
 サッカーは、誰かの何かを背負ったり、何かの弾みで、驚異的なエネルギーや勢いを発揮することができるスポーツである。例を挙げればきりがないが、天皇杯でアマチュアチームがプロチームを倒してしまうという番狂わせなどが典型である。それくらい朝鮮人の愛国心は強く、本来ならば息切れするあの軍隊的サッカーによって終始日本を圧倒できたと解釈できる。一方の日本は、相当コンディション不良だったと考えられる。

予想スタメン

楢崎
 坪井 茶野 茂庭
駒野      村井
阿部 今野
 本山
 巻 田中(達)
 戦前の情報によれば、これまででは考えられなかったのだが、不動の国内組を休ませ、控え組を中心に3バックで望むようである。ジーコ監督いわく、不動のスタメンたちは北朝鮮戦を見ればわかるように疲れがたまっているため本来のプレイができてない、休みが必要だとのことだ。
 筆者は少なくとも50%以上は同意できる。確かに主力組は心身ともに疲労が蓄積されていたように見えたし、おそらく、中国相手ならばいかにぶっつけ本番になろうとも、代表であるトップJリーガー(プラス交代枠)ならば倒せるとジーコが信じていると推測される。また、控え組のエネルギーを爆発させることで、不動のスタメンたちは韓国戦に向けて気合を充実させる意味もあろう。その予測の精度(つまり、それで勝てるかどうか)については全てジーコの直感によるものであり、第三者がその是非を判断するのは困難であろう。
 多少楽観的に考えれば、2人の守備を欠き、この戦いで北朝鮮のような勢いがあるとは考えにくい中国(警戒すべきはフィジカルくらいだろう)ならば、確かに勝機は十分ある。
 ただし、攻撃力という意味では戦術や個人間の共通理解が不確実であることから、派手な攻撃は予想しにくい。ラフに言えば、巻選手はポスト型(ターゲットマン)、田中達選手はシャドー型であるので、巻選手にボールが集まるか、彼にどのように集めるかが攻撃の切り口となるだろう。中国はラフな反則が得意なようであるから、阿部選手のFKも貴重な得点源となる。北朝鮮が見せるようなパスワークは、ぶっつけ本番、調整不足ゆえにやや期待できない。技術的、戦術的にはともかく、控え組がレギュラーを奪ってやろうという意気込みは感じたいものだ。ワールドカップという目標がない中国に気おされるようでは、彼らを先発させる意義が損なわれてしまう。
 いずれにせよ、優勝のためには、残り2試合中国と韓国に2連勝することがが義務づけられている。今夜も勝利が求められていること、自分たちにレギュラー奪取のチャンスがそう多くないことを控え組も十分認識しており、それに相応しい試合となるだろう。この試合、2-0で勝利と予想する。

前半

後半

まとめ
 残念ながら、ジーコ監督のぶっつけ本番作戦は中国を倒すほど機能しなかった。紙一重で勝利を逃がしたその原因を考えたい。
 あえて仮定法で議論すると、もし欧州組を含めたメンバーならば、この作戦は機能していたと思う。彼らならば、試合中に相手の強い部分やもろい部分をより的確に把握することができる。試合中にコンビネーションの微調整をより精密にすることができる。チームメイトの効果的な生かし方をより実現できる。そして何より、ジーコ監督のやり方に慣れているため、自分たちは試されていることをより深く認識し、勝利に向かって遠慮なく前進することができる。今夜の国内組のドローという結果は、この辺の微妙な意識や経験が結局小さくなかったように思う。
 チャンスの数だけで言えば、日本の方が多かった。また、簡単に裏を取られてしまうことから、ディフェンスの質も悪かった。唯一優れていたのは、やはりフィジカル勝負を全く恐れずに仕掛けてくることだけだった。日本のマークの甘さをつき、フィジカル勝負で2得点、それ以降は頑強な肉体を生かし数任せでガチガチに守る(反則も多用する)という展開だった。
 筆者のこれまでのレポートでも述べられているように、あのような守備は単純に視界内の縦の動きにはめっぽう強いが、一方でワンツーなどの早い展開やトリッキーなプレイにはめっぽうもろい。これが控え組の差なのだろうが、そのような相手の短所と長所を見極め、それに対してどのような戦術をデザインし、どのように選手を組み合わせてそれを実現するか、という実戦的な訓練が不足していた、ということだ。一言で言えば、勝利のためのヴィジョンを構築しきれなかった。一方の中国は、フィジカルと汚いプレイだけを最大限活用した、彼らのゲームプランの方がより明確だったということだ。
 主な攻撃の手段は裏への突破とサイドアタックくらいで、それも中国が守備の人数を増やして次第に通じなくなった。ならば、もっと中央からがむしゃらにアイディアを実現しようとする気合いを見たかったものである。そうすれば決して勝てない相手ではなかったはずだ。欧州組主体のチームのように鮮やかでリスク回避的なゲームプランを変に意識してしまったようにも感じた。
 今夜の審判は、比較的笛を吹かなかった。あれくらいは許容範囲だが、中国があまりに露骨に反則で止めてくるため、もう少しカードを出すなりして、彼らの暴走を制御すべきだったように思う。また、新しいオフサイドについても若干笛のタイミングが遅れるなど迷いがあったようにも感じた。ロスタイムももう少しあっても良かったように思う。
 中国は久し振りに見たが、正直かなり不快になる部類のチームだ。技術がない分平気で反則を繰り返し、それがスポーツマンシップに反し、大怪我を誘発する極めて危険なプレイであるなどとはこれっぽっちも思っていないように見えた。原則的にこのようなプレイは世界基準のルールでは通用しないし、少なくとも日本ではこのようなプレイを続けると小学生のうちに先生から説教を食らう。ただし、日本側も中国の肉弾戦を不用意に受けてしまった感があったのも事実だ。今夜中国が2得点できたのは、中華民族としての誇りというか、日本に対して何ら尊敬を抱かない傲慢さが試合に効果的だったからだ。

放送陣に対して
 テレビ朝日の放送は、サッカーの世界の進歩に比べると努力が足りないことが否めない。今夜は100歩譲ってギリギリマシの部類だが、オフサイドの定義を厳密に説明しないことには、視聴者は誰一人としてルールを理解できなかったはずだ。選手交代後のシステム変更にも言及して欲しかった。
 少なくともサッカー関連の書籍を10冊程度読むくらいの予習はして欲しい。また、選手仕込みの感覚で喋るセルジオ越後氏をコントロールして面白いコメントを引き出す努力も見たい。

採点の比較

右の列の赤字部分は「サッカーマガジン」より引用しています。


私の採点
サッカーマガジン
楢崎正剛 6.0
-
茶野隆行
6.0
*
坪井慶介
5.5
-
茂庭照幸
6.5
*
駒野友一
6.5
*
今野泰幸
6.5
*
阿部勇樹
6.5
*
村井慎二
5.5
*
→三都主アレサンドロ
5.5
*
本山雅志
5.5
*
→玉田圭司
5.0
*
巻誠一郎
5.5
*
→大黒将志
5.5
*
田中達也
6.5
*
審判
5.5
*
ジーコ
4.5
*
試合の総評
5.0
-
 今夜のMVPは負けに等しい引分ゆえに存在しないが、あえて名前を挙げれば田中達也選手になろう。積極的に裏への突破を狙い、ストライカーらしいシュートを連発した。東アジア選手権の最大の収穫となった。
 守備陣は概して及第点。茶野選手は効果的なスルーパスも良く、悪質な肘うちでノックダウンされても闘争心を失わなかった。坪井選手は1失点目にもう少し詰めてもらいたかった。茂庭選手は攻撃参加など最もアグレッシブなディフェンダーだった。得点もその結果だろう。
 中盤に関して、司令塔以外は及第点以上だった。今野選手は読みと反応が良く、派手さはないがリトル福西のような印象だった。阿部選手はセットプレーによる事実上の1得点であり、効果的なパスはかなり有効な攻撃の手段となった。地味な和製ベッカムといえばそうだ。駒野選手は裏への走りこみが効果的だったが、その後のクロスがいまいち精度に欠いた。いろいろなアイディアを試していると思われるが、本人と受け側とのコンビはそう簡単に完成しない。加地選手のバックアップとして、次にチャンスを与えられても良い。村井選手は走りこむというよりは、ためを作り起点となれる選手。攻撃の手段としては良かったが、2失点目は彼がもう少ししっかりつけば防げたように思う。サントス選手は出場時間も短く、タイミングも難しかったが、好機を演出したのは37分のほぼ1度のみ。A級戦犯をあえて決めれば、本山選手だろう。裏へのパスやロングシュートは良かったが、いかんせん失速するのが早すぎた。1失点目も彼がもう少しつめてほしかった。チームを引っ張っていくポジションがこれでは、勢いに乗るのは難しい。
 巻選手はターゲットマンとして機能したが、フィニッシュの精度が悪かった。今後コンビネーションを洗練させたい。後半途中投入された両フォワードはすでに守備モードで厳しい時間帯だった。玉田選手はほぼ全く見せ場なし、大黒選手は一度サントス選手から田中選手につなぐという仕掛けが良かった。もちろん大黒選手は得点の予感をさせた。
 今夜のA級戦犯は紛れもなくジーコである。結果論で言えば、この控え組で戦うことはあまりに無謀すぎた。不調の玉田選手の投入はやや納得しかねるし、サントス選手の出場も不可解だった。攻撃のコマがやや少ない中での難しい交代だったが、サントス選手を投入するならディフェンスを一枚けずって、小笠原選手を投入して中央からの起点を増やすことの方が有効だったように思う。これで優勝は絶望的になった。
 今夜の試合は勝てなかったので意味がない。勝てる相手に無策で試合に望んだ罪は重い。 


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