「結果的に勝っただけの凡戦」
展望 東アジア選手権最終試合、宿敵韓国(FIFAランキング21位)との対戦である。戦前の予想では、両チームの頂上対決が濃厚だった。しかし、蓋を開けてみれば、ワールドカップの出場を決めたこの両チームはモチベーションが上がらず、正直不甲斐ない結果となっている(日本は1分1敗、韓国は2分)。その一方で、W杯敗退組の北朝鮮と中国は、将来を見据えた若手中心の戦いをすることで、見事に結果を残している。 先日のサブ組主体の中国戦では、残念ながら勝利とはならなかったものの、何かチャンスがあればまた見たいと思わせる印象を与えた。中国戦の前では、不動のスタメンが心身ともに疲れているという理由で大掛かりなチーム改造を行ったはずだったのだが、急遽方針を変え、この韓国戦もこの若手を主体で望むようである。 確かにこの大会では日本だけでなく若手の勢いがあり、それにあやかろうということは理解できる。ただし、不動のスタメンがこのような扱いをされて、プライドが傷つかないか、ジーコ監督の信頼が損なわれないか多少気がかりである。結果論で言えば、始めから若手主体で望み、彼らに経験を自信をもたらすという目標を掲げるべきだったと思う。ジーコ監督のデリカシーのなさというか、行き当たりばったりさを感じずにはいられない。 山本監督が率いたオリンピック代表は、最強の隣国である韓国戦を多くこなしてきたが、ジーコ監督は強い韓国を恐れているのか、これまで出来る限り避けてきたという事実がある。東アジア選手権3連勝と公言しながら、すでに優勝の望みがなくなった時点で、結果を問われないよう言い訳のために若手を起用しているような気がしないでもない。もし最下位になれば、次の大会のシード権を失うことなど、契約の切れているジーコ監督は微塵も気にしていないだろう。 とはいえ、スポーツナビの宇都宮氏の記事によれば、この大改革が不動のスタメンにとっても良い刺激になっているようである。さすが日本で一流の選手たちは、筆者の低レベルな不安などを超えたところでプレイし、頭脳も十分スマートにようである。おそらく、先日の中国戦の反省を生かし、本音で調子に乗れない韓国を倒すつもりで試合に望むと予想される。おそらく、中国戦以上に躍動感溢れる試合になるだろう。 予想スタメン あえてこのチームの不満を述べれば、コンビネーションがまだ未熟であることはともかく、司令塔の破壊力が乏しいことである。ボランチもタイミング良くオーバーラップ、インターセプトし、積極的にミドルシュートを放つことで、もっとアグレッシブな戦い方になるだろう。 おそらく後半は大黒選手が投入されると思われる。不動のスタメン組も十分回復し、後半から出場して追い上げも期待できる。この試合、2-1の勝利と予想する。 前半 後半 まとめ 内容的には韓国の勝利とも言っても良いような気がする。韓国は日本を研究してきているのが伝わってきた。中国戦で攻撃の起点となったサイド攻撃を2枚がかりで蓋をするようなディフェンスで孤立させ、縦への突破、中央への展開を難しくした。そして中央の守りはとにかく厚くし、フォワードが走りこむ隙を与えないよう努めていた。これはすでに山本ジャパンがどうしてもバーレーンに勝てなかった原因の一つでもあっただろう。攻撃に関しては、基本的にカウンターアタックである。そしてボールをもらったら逆サイドや裏へ大きく展開するという特徴を持っていた。山本監督の著書でも述べられているように、攻撃が展開されている逆サイドの人間も、いつボールが来るかわからないということを意識し、4枚目のディフェンスとして備えておくべきなのである。日本はしばしば右サイド(駒野側)に展開され、その時誰が(ボランチ、サイド、バック?)チェックに行くのかという約束事が不十分だったようで、随分とこの攻撃に手を焼いたように見えた。これで最終ラインも中途半端に下がらざるを得なかった。そして散々に危険なミドルシュートを被弾した。 しかし、それでも内容と勝ち負けが一致しないのがサッカーの恐ろしさでも面白さでもある。韓国はあっさりと終了間際にセットプレイで失点して負けてしまった。これだけ統率力のあるチームが決定力を欠いたのは、韓国の不調の原因かもしれないし、まだ確信や自信を持ってプレイできていないからかもしれない。韓国もベストメンバーではないとはいえ、日本がその手の得点力不足を完全に克服したわけでもない。韓国は敗れて最下位となり、次回二年後の東アジア選手権は予選から戦うことになった。監督も更迭の危機にさらされるだろうが、お気の毒に、というしかない。 日本の苦戦の要因は以上述べられた通りだが、やはり中盤の構成力、コンビネーションは大きな課題となった。サイド攻撃を封じられ、中央からの攻撃に乏しかった。攻撃に関しては誰がボールを持ったときに誰がボールをもらう動きをして、その次にどのような展開が繰り広げられるのか、守備に関しては、誰がどの位置でボールを奪取するかなど共通理解が足りなかった。サイドからクロスが入ったとしても、フィジカル勝負の強い韓国は巻選手を徹底してマークしており、なかなか攻撃のチャンスを演出することはできなかった。そのために、シュート数(枠に飛んだのは本山選手の2本くらい)も極端に少なく、得点の匂いというのも薄かった。最後はお得意のセットプレイ、しかも小笠原選手のCKから中澤選手のシュートと、結局は経験豊富な不動のスタメンである。良くてスコアレスドローという流れに飲まれず、ワンチャンスを物にできる精神力と技術力はさすがである。 放送陣に対して 実況は日本のメンバーすら正確に覚えていないような勉強不足さを感じた。その準備不足を適当に煽ってごまかしていた。解説は今野選手を「地味だけど素晴らしい選手」と、おそらくボランチの仕事を認識できず、適当に評価するところなど、元Jリーグの監督の言うことではない。この二人は日本で考えうる限り最悪のコンビだ。また、重要なプレイのリプレイをあまり流さないような印象も受けた。 採点の比較右の列の赤字部分は「サッカーマガジン」より引用しています。
守備陣はGKの好プレイに救われながらも、まあ概して及第点である。ただし、ミドルシュートや1対1の対応など、危ないプレイもいくつかあったのは事実だ。 中盤について、ボランチと司令塔などコミュニケーションが不完全だったため、組織力という点で韓国の攻撃に随分手を焼いた。阿部選手は正確なボールを前線に放り込み、攻撃の起点とはなった。今野選手は早い展開とコンビネーションにややてこずったか。中国戦ほどのタイミングの良さはなかった。惜しいミドルシュート2本を除けば、本山選手は準A級戦犯である。ドリブル、パス、ゲームメイク、どれも中途半端でチームの原動力とはなれなかった。小笠原選手はほぼ初めての選手たちとのプレイと韓国の早いプレスで戸惑いがあったように見えた。 玉田選手はA級戦犯である。シュートなし、パスがつながらない、ボールがもらえないなど、交代させられるまで存在感がなかった。引いた相手に対してアイディアがなかった。巻選手はターゲットマンとして意識が強すぎ、ストライカーとして相手に威圧感を与えることはできなかった。放り込まれたボールの裁き屋としても、韓国守備陣に対して勝率があまり良くなかった。大黒選手も投入された時間が悪かった。 ジーコ監督は、もう5〜10分ほど交代を早めても良かったような気がする。結果的に勝ったが、韓国相手にもう少しでドローか敗北だったいうことで、やや無策すぎると指摘せざるを得ない。 今夜の審判は、序盤にやや厳しい笛を吹くことで上手く試合の流れをコントロールすることができ、笛自体は安定していた。 今夜の試合は、序盤に勢いが合ったが次第に失速し、攻撃の見所がない退屈な試合だった。結果以外はあまり見るべきことがない。 |
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